69歳男性から、「後期高齢者医療制度とは何ですか?絶対に入らないといけないんでしょうか」という質問がありました。

それに対しては、「75歳になったら(65歳以上の一定の障害を持つ方も対象)、全員がそれまで加入していた医療保険から後期高齢者医療制度に移ります」というのが回答です。

2024年度には後期高齢者医療制度の保険料上限額が引き上げられるため、負担に感じる方もいるでしょう。

今回は、後期高齢者医療制度とは?ということから、手続きのこと、負担する保険料や医療費などについてわかりやすく解説します。

1. 後期高齢者医療制度とは

「後期高齢者医療制度」は、75歳以上の高齢者(65歳以上の一定の障害を持つ人)を対象とした公的な医療制度です。

1.1 後期高齢者医療制度の背景と目的

1983(昭和58年)に制定された「老人保健法」以降、高齢者の医療費が増加し続けたため、75歳以上の患者の一部負担と公費負担を増やし、世代間や被保険者間の公平を保つことを目的として、2008(平成20)年度に「後期高齢者医療制度」が導入されました。

後期高齢者医療制度は、健康保険や国民健康保険から独立した医療制度です。

後期高齢者医療制度の財源は、患者が医療機関等で支払う自己負担分を除き、現役世代からの支援金(国保や被用者保険者からの負担で4割)、公費(国・都・区市町村の負担が5割)のほか、被保険者からの保険料(約1割)で構成されています。

1.2 どんな人が加入対象なの?

すべての人は75歳の誕生日から、後期高齢者医療制度に加入することになります。

それに際して、特別な手続きは必要ありません。

また、75歳以上の方以外に、65~75歳未満で一定の障害の状態にある人も対象になります。

ただし、制度への加入は任意です。

なお、後期高齢者医療制度の運営は、各都道府県に設置された後期高齢者医療広域連合が行っており、申請手続きや保険料の徴収等の業務は市町村が担います。

1.3 いくらの保険料を負担するの?

後期高齢者医療制度では、被保険者一人ひとりに対して保険料を賦課・徴収します。

保険料は、被保険者が等しく負担する「均等割額」と被保険者の所得に応じて負担する「所得割額」を合計した額です。

保険料は各都道府県の後期高齢者医療広域連合が個人の所得に応じて決定します。

ただし、2年ごとに保険料率が見直しされます。

2022(令和4)・2023(令和5)年度の被保険者一人当たり平均保険料額は、全国平均で月額6472円です。

2023(令和6)年度からの保険料は、2年ごとの保険料率の改定があるため、振込み・口座振替等の人は7月から、年金天引きの人は10月の年金受け取り分から保険料が変更になります。

なお、お住まいの市区町村によっては時期が異なる場合があります。

詳しい情報をお知りになりたい場合は、市区町村の窓口にお問い合わせください。