世界的な株高もあり、国内外の株価は前年と比べて大きく上昇しています。急激な上昇のため、新規のまとまった資金では運用しづらいですね。

一方、将来的な資金準備ということであれば、長期での積立運用はしやすいかと思います。

無理な運用をせず計画的に資金準備をすることが大事ですね。

一昨年に続いて昨年も物価が上昇したことにより、2024年度も年金額が増えることになりました。

ただし、次回4月の支給日ではまだ増額が反映されません。2024年度の年金額改定となる年金支給月について、詳しく解説していきます。

1. 2024度の年金額は2.7%の引き上げもマクロ経済スライドが発動

2024年1月19日に、厚生労働省から令和6年度(2024年度)の年金額の改定のお知らせのプレスリリースがありました。

昨年の生鮮食品を含む全国消費者物価指数が公表され、令和6年度(2024年度)の年金額は昨年度より2.7%の引き上げとなりました。

年金額には改定のルールがあり、物価の変動率や名目手取り賃金変動率に応じて、毎年度改定を行う仕組みとなっています。

物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合は、支え手である現役世代の方の負担能力に応じた給付とする観点から、名目手取り賃金変動率を用いて改定するように法律で定められているのです。

具体的には、令和6(2024)年度の年金額は、名目手取り賃金変動率を用いて3.1%の改定がありますが、同年のマクロ経済スライドによる調整があるため(△0.4%)、改定率は2.7%となります。

  • 3.1%(名目手取り賃金変動率)+△0.4%(マクロ経済スライド)=2.7%(年金額改定率)

2023年度の年金額と2024年度の年金額を比較

2023年度の年金額と2024年度の年金額の比較表

出所:厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」を参考に筆者作成

名目上の年金額は前年に続き増加していますが、物価がそれ以上に上がっていますので、実質の年金額は物価に比べてマイナスとなっています。

このように物価には追いついていないのですが、物価が上昇する場合にも、公的年金も連動して上昇するような計算となっていることは押さえておきましょう。

2. 年金額はいつの支給分から増えるのか

では、年金額はいつから増えるのでしょうか。

前回の2月15日の支給日には、年金額は増えていませんでした。

次の年金支給日は4月15日月曜日ですが、実は、この時も年金額は増えません。

2024年度の年金額と言われるから4月からと思われがちですが、4月ではなく6月の年金支給日の6月14日金曜日(通常は偶数月の15日ですが、土曜日のため繰り上がり)から増額した年金が受給できます。

なぜ6月からの受給なのか。それは、年金が後払いだからです。

6月に受給する年金は、4月分と5月分の2ヶ月分が後払いされるため、この時から増額された年金となります。

詳細の金額については、6月上旬に「年金額改定通知書」のお知らせが届きますので、こちらをご覧ください。

ハガキで送付されますが、年金ネットの登録をしている方はハガキよりも早く確認することが出来ます。

この時期は日本年金機構からの年金額改定通知書以外にも、市区町村から国民健康保険、後期高齢者医療保険の保険料や介護保険料、住民税などのお知らせが届くのでわかりづらいかもしれませんが、実際の年金額が増えていることはしっかりと確認しておきましょう。

3. まとめにかえて

年金は上述のように後払いとなっています。

4月分から年金額が増えるのですが、実際に受け取れるのは、6月からと少しタイムラグがあることを知っておきましょう。

ちなみに年金受給者が亡くなった場合も、亡くなったその月までは年金を受給することができるため、4月1日に亡くなっても4月30日に亡くなった場合でも、遺族の方が4月分までは受給することが出来ます。

もし、今年物価が下がることになり、来年度の年金が下がったとしても来年4月に受給する2月分、3月分の年金は下がりませんので、1年トータルの年金額は変わらない点は安心してください。

物価による年金額の変動は、ねんきん定期便ではわからないのですが、物価はその時々の景気動向にも左右されます。

公的年金を受給する時に、特に意識するところでしょう。

2023年度は2.2%の上昇、2024年度は2.7%の上昇と物価の上昇には追いついていませんが、年金額もしっかりと上昇しています。

公的年金に不安を持っている方も多いかもしれませんが、物価の上昇にもある程度対応できるのが、公的年金のメリットなのです。

参考資料

香月 和政