訪日外国人観光客でにぎわう大阪。難波・天王寺にほど近い新今宮駅に隣接する土地に、星野リゾートが進出することがわかったのは、2017年3月のこと。翌4月には星野リゾートから2022年春に約600室のホテルを開業するという開発計画が発表されました。
大阪人の誰もが驚き、少々心配もしている(かもしれない)星野リゾートの新今宮進出ですが、新今宮の風景が一変する可能性を有しています。
星野リゾートは新今宮で安宿を作るつもりなのか?
2017年4月、星野リゾートが大阪市の新今宮駅前に観光客をターゲットとした新たな都市型ホテルを2022年春に開業すると発表しました。
新今宮駅はJRと南海電鉄の乗り継ぎ駅ですが、駅周辺にはドヤ街の雰囲気が色濃く残っています。周辺の事情を多少知っている大阪人なら、ここで星野リゾートは一体何を作るつもりなのか? まさか安宿? と思わず考え込んでしまったかもしれません。これまでの高級路線とは多少イメージが異なる、そんな場所に星野リゾートは進出を予定しています。
ホテルを建設するには最高の立地!
星野リゾートが進出を予定しているのは、JR新今宮駅の目の前の土地です。以前より広大な更地が広がる場所として知られていましたが、利用計画がなかなか定まらなかった、いわく付きの場所です。
ただし「観光客が多い都市の、JRと私鉄の乗り継ぎ駅の目の前に広大な土地が広がっており、その土地に都市型ホテルが建設される」と聞けば悪い話には聞こえません。
実際に新今宮駅には、関西空港から電車で乗り換えなしにアクセスできます。外国人観光客であふれる難波にも近く、難波よりもディープな大阪が楽しめると外国人観光客にも人気の通天閣・新世界も徒歩圏です。
現在の新今宮駅周辺を歩いてみる
以前、南海電鉄沿線に住んでいた筆者は、毎日のように新今宮駅周辺の安宿街を車窓から見ながら通勤していました。そして今回、久しぶりに星野リゾートが都市型ホテルの開業を予定している付近を散策してみました。
驚くのはやはりその立地。JR新今宮駅のホームから何度も見ていた土地ですが、本当に駅の目の前なのです。駅のホームとホテルを直結できるのではないかと思えるくらいの距離感。目の前に広がる広大な土地を眺めていると、よくこんなところにある更地が今まで開発もされずに残っていたものだと思わざるを得ません。
周辺を歩いていると、地べたに座り込んで昼寝をしている作業着姿の初老の方を見かけました。昔ながらの新今宮を感じたひと時でしたが、一方ではグループで旅行に来たであろう大きな荷物を持った韓国人らしき若者の姿もありました。こちらは今の大阪の姿です。
新今宮駅周辺に多数存在しているドヤ街独特の安宿は、今や外国人観光客御用達の宿になっている、という話はよく耳にします。確かに新今宮周辺は心斎橋などといった他の地域に比べると、バックパッカーや若い旅行者の姿が多いように感じました。
フェスティバルゲートがマルハンとドンキになっていた!
新今宮駅周辺の散策を終え、そのまま新世界方面に向かうと、以前には見なかった新しい建物が。何と、かつて新世界に存在した遊園地・フェスティバルゲートの跡地が、パチンコのマルハンと外国人観光客に大人気のドン・キホーテの複合店に変身しているではありませんか!(ファミリーマートも併設)
帰宅した後で調べると、この施設はオープンしてすでに約3年が経過していたのですが、閉園後、長らく廃墟と化していたフェスティバルゲートの跡地に立つマルハンとドンキの姿は、過去と現在の新今宮駅周辺を象徴しているように感じられ、非常に感慨深いものがありました。
まとめにかえて
ここ数年の外国人観光客の急増で、大阪の街の風景は大きな変化を遂げています。そしてついに、ドヤ街の雰囲気が残る新今宮駅前に星野リゾートが進出するまでになりました。
今年の民泊解禁、2022年の星野リゾート開業、IR施設の誘致、万博への立候補と、大阪は外国人観光客誘致の話題に事欠きません。かつてヨドバシカメラのオープンで梅田の風景が一変したように、新今宮駅前で星野リゾートが手がける都市型ホテルのオープンは、この街のディープな景色を一変させる、そんな可能性を有しているのではないでしょうか?
石井 僚一