2. 父の遺言に、当の実子たちは納得も…。

そんなある日、父親が亡くなりました。

父親は亡くなる5年ほど前まで小さい工務店を細々と堅実に経営していたので、不動産を含め遺産は1億円程度ありました。また、父親は生前、工務店に出入する税理士のすすめもあり、公正証書遺言を作成していました。

2.1 父の遺言に書いてあったこととは?

四十九日の法要でBさん夫婦が帰省した際に、公証人役場へ遺言をとりに行くと、その遺言には「長男Aには自宅の土地と建物と預貯金4000万円を、次男Bには預貯金3000万円を遺す」と書いてありました。ちなみに、自宅の土地と建物の評価額は約3000万円。

また、遺言の最後にある付言事項には

「同居し介護をしてくれ長男Aに多くの遺産を遺したが、次男Bも大切な私の子供だということをどうかわかって欲しい。同居と介護の手間賃として長男Aに多く遺しているだけなのだ。どうか2人とも揉めずに、これからも兄弟仲よく過ごしてほしい」

という父親の愛情が感じられるメッセージが書かれていました。

この付言事項をみて、AさんとBさんは父親の想いを受け取り、遺言通りに遺産分割をしようと決めました。しかし、ここで苦言を呈したのは、次男Bさんの妻B子さんです。

3. 遺言書をめぐる「長男嫁 vs 次男嫁」壮絶なバトル

「ちょっとこの遺言、どういうこと?」

怒った顔をした日本人女性

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3.1 次男嫁「そっちは住宅資金や子育てで援助を受けてきたのに、不公平!」

「なんで同じ兄弟なのに、遺産の取り分が違うの!?確かにお義兄さんたちは介護をしたかもしれない。

でもお義父さんに二世帯住宅を建てるお金も援助してもらって、子供たちの世話を頻繁にお義母さんにお願いしたこともあったはずよ。介護以上の恩恵を既に受けているんじゃない?」

それに引き換え私たち夫婦は、慣れない海外で自分たちだけで必死に子育てをしてきた。

それに今のマンションだって自分たちでローンを組んで毎年支払っている。それなのに遺産まで少なくなるなんて不公平よ!」と凄い剣幕で話し出したのです。

3.2 長男嫁「私は毎日、義父のトイレ介護までしてきたのよ」

一同が騒然となっているところ、次に口を開いたのは長男Aさんの妻A子さん。

「あなたは介護の大変さを何もわかっていない。お義父さんは最期の半年は一人で起き上がることもできなかったのよ。トイレや食事のたびに呼ばれては、起き上がらせて、トイレまで付き添う。その大変さがあなたに分かるの?」

と一歩も引きません。