2. 地方において大学進学の足かせになっているものとは何か

前章では、都道府県別に大学進学率が異なることを確認しました。地方に住む人の大学進学率が低い傾向にある理由とは何なのか。その理由を考察してみましょう。

2.1 大学や教育機関の少なさ

大学進学率が低い県は東北や九州に多いです。これらの地域にも国立・公立の他、私立大学も複数あります。しかし選択肢はそう多くはありません。

もし、東京都の早慶やGMARCH、関西エリアの関関同立といった著名な大学への進学を希望するとなれば、アクセスは容易ではありません。交通費が割高な他、実家に帰省するにも時間がかかります。

さらに、東京や関西の有名大学に進学するには大都市圏で暮らす同世代との受験戦争に勝つ必要があります。

大都市にはこれらの大学進学に特化した学習塾が充実している他、希望する大学に在籍している学生に家庭教師を依頼することもできます。推薦枠を持つ高校も多いです。

2.2 都会と地方の収入格差

各地域における大学進学率の差は、親の収入も関係します。厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」を参考に都道府県別の賃金を確認してみましょう。

【図表2】都道府県別の賃金

都道府県別の賃金

出所:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

【図表2】は【図表1】(都道府県別の大学進学率)にどことなくかたちが似ているようにも思います。

大学進学率が全国的に見て抜群に高い「東京」は賃金についても国内トップ。また、大学進学率が高い「京都」「大阪」「兵庫」「愛知」についても賃金が高い傾向にあります。

一方、大学進学率が低い「岩手」「佐賀」「鳥取」「大分」「宮崎」「鹿児島」などは賃金も全国的に見て低い傾向にあります。これらの県は最低時給についても、800~900円台と低いです。

また、北陸地方や近畿地方などには大学進学率が極端に低い県がほとんどありませんが、賃金についても著しい特徴があるわけではありません。

2.3 育った環境や人間関係

周囲に大学生がおらず、親も大卒でなければ、大学に進学しようという発想にはなかなかなりません。

また、地方には都会のような大卒者が大半を占めるオフィスでの内勤の職業は少ない傾向にあります。

こうしたコミュニティに属していれば、テレビドラマで高層ビルで働く会社員を演じる俳優を見たり、ファッション誌で大学生を見たりしてもどこか遠くの世界の話に感じるでしょう。

また、現代においても一部の地域では女性に四年制大学は必要ないという考え方や、女性が難関大学に進学する価値がないという考え方が根付いています。

親や祖父母がこのような価値観だと、本人は大学に興味があっても、進学を断念してしまうものです。