3. 55歳の夫が突然、脳梗塞で帰らぬ人に

働き盛りの夫が、突然帰らぬ人に…。

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そんなある日、55歳の夫が脳梗塞を起こし、会社で突然倒れ、帰らぬ人に。

あまりに突然なことにA子さんはショックを受けたのは当然ですが、夫の死をきっかけに姑のB代さんへの不の感情を抑えることができなくなったそう。

「夫が亡くなった今、私がお義母さんを介護する必要ってある?お義母さんには子育ての時も、介護の時もずっと傷つけられてきた。もう耐えられない。」と思うようになったのです。

そして、この想いを友人に話したところ、友人が相続診断士を紹介してくれ、相談することになりました。

その相談の中で、姻族関係終了届を提出することで、姑のB代さんとは姻族でなくなり、介護などの扶養義務を負う必要がなくなることを知り、A子さんは姻族関係終了届を提出することを決意したのです。

この話が姑のB代さんの耳に入ると、「この恩知らずが!贈与したマンションの頭金や学資保険の掛け金を返せ!それにマンションは息子(A子さんの夫)の名義だったはずだ。”死後離婚”なんてそんな届け出するなら、マンションから出ていけ!」とA子さんを怒鳴り散らしたとのことです。

しかし、姻族関係終了届を提出しても、相続した夫の遺産を返却する必要はありません。

そのためマンションの頭金や学資保険の掛け金を返す必要がないことももちろん、夫から相続したマンションを手放す必要もないのです。

現在、介護してくれる身寄りをなくした姑のB代さんは老人ホームで生活しています。

一方A子さんは介護から解放され、フルタイム勤務に戻り精力的に働いているのですが、心の片隅には、「嫁姑問題、どうしたらこんなにこじれなかったのだろう。」と思うなど、後悔の念があるようです。

4. まとめ

A子さんと姑のB代さんは姻族関係終了届を提出して、「まったくの他人」になるという悲しい結果となってしまいました。

しかし、もし介護をA子さんだけで抱え込まず、専門家に任せていれば、ここまで嫁姑関係がこじれることを防げたかもしれません。

介護は家族にとって、精神的・身体的に大きな負担となります。それまでは円満だった家族関係・なんとかなっていた嫁姑関係が崩れるきっかけにもなり得るのです。

介護資金を計画的に準備し、いざ介護が必要になったら介護のプロに対価を払ってお願いすることは、家族の円満な関係を作る近道の一つと言えるでしょう。

この記事が、みなさんが「介護とお金」そして「介護と家族」について意識を向けるきっかけになればと思います。

参考資料

佐橋 ちひろ