2. 相続診断士に聞いた「姻族関係終了届」を提出した実際の事例
相続診断士に聞いた姻族関係終了届を提出した実際の事例を紹介します。
A子さんは東京の郊外にあるマンションに住む55歳の会社員です。26歳の時に夫と結婚し、2人の子供を授かりました。
A子さん夫婦は共働き。また、A子さん自身の実家は地方ということもあり、子供が生まれてすぐ、夫の実家の近くに移り住みました。
姑のB代さんは気さくで明るい人柄でしたし、夫の実家は比較的裕福ということもあり、A子さんは夫の実家の近くに住むことに不安はなく、最初は「子育てを手伝ってもらって、ありがたい」と思っていたようです。
しかし、移り住んでからというものの、姑のB代さんは孫見たさに毎日A子さん宅を訪問するようになりました。
2.1 【嫁 vs 姑】子どもの教育方針の違い
また、A子さんは教育熱心なタイプで子供には小さい頃から複数の習い事をさせていましたが、姑のB代さんは「子供はのびのび育てるべき」と考えるタイプであり、子育てに関する方針が違っていました。
姑のB代さんが時々、何気なく言う「小さいうちからそんなに熱心だと育児ノイローゼになるわよ」という言葉が、次第にA子さんの心を蝕むようになりました。
しかし、実家の近くに新築のマンションを購入する時、頭金として1000万円程度を贈与をしてもらったり、子供たちに学資保険をかけてもらっていたりと、金銭面で多額の援助を受けていたこともあって、A子さんは姑のB代さんに自分の本当の気持ちを伝えることができませんでした。
2.2 やがて姑の介護が始まった
さらに月日が流れ、A子さんは50歳・姑のB代さんは80歳に。足腰が弱り、介護が必要な状態になりました。
A子さんは管理職で忙しい夫に代わって、仕事を時短勤務に変更し、姑のB代さんを毎日見舞い、夕食の準備をしたり、入浴を助けたりと献身的に介護しました。
しかし、姑のB代さんはA子さんに感謝するどころか、「あなたたちのマンションや子供の成長は、資金援助をしてきた自分のおかげでしょ?感謝のしるしに介護くらいして当然」という、とても強気な発言をするようになったそうです。
しかし、A子さんは「身体が弱り、不安が募り強き発言をしているだけ。怒らずに可哀想と思ってあげなきゃ。
それに、資金援助をしてもらったのも事実だし」と考えるようにし、自分の本当の気持ちを押し殺して、姑のB代さんの介護を3年以上続けていました。