3. 年金額を増やす方法3選
もらえる年金額を増やす方法を3つご紹介します。
3.1 年金の受給開始年齢を遅らせ、受け取る年金額を増やす
老齢基礎(厚生)年金を65歳で受け取らずに、受給開始時期を66歳~75歳まで遅くすると、遅くした分だけ毎月もらえる年金額を増やすことが可能です。
これを年金受給の繰下げと言います。
増額率は、「0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数」で計算できます。
ただし、年金の繰下げ受給には注意点があります。
年金受給を遅らせれば、今後毎月もらえる年金が増えますが、繰り下げている期間中はもちろん年金はもらえません。
そのため、長生きすればもらえる年金総額は増えますが、万が一早めに亡くなってしまった場合、繰下げ受給をした方が、65歳から受け取るよりも、受給総額が少なくなる可能性があります。
具体的には、年金受給を5年遅らせ、70歳から年金を受け取り始めた場合、少なくとも81歳以上まで生きなければ、損をしてしまうことになります。
65歳以上も現役同様に働く予定の方や、健康寿命に自信がある方などが、繰下げを検討してみましょう。
3.2 付加年金に加入する
第1号被保険者・任意加入被保険者が定額保険料に加えて、付加保険料(月額400円)を納付すると、将来受け取る老齢基礎年金に、一定額の付加年金が上乗せされます。
例えば、20歳から60歳までの40年間、付加保険料400円×480月(40年)=19万2000円を納めた場合、200円×480月(40年)=9万6000円(年額)が付加年金額として老齢基礎年金に上乗せされます。
年金の受給開始から約3年たてば、払った保険料よりも上乗せされる金額の方が高くなるので、68歳になれば、加入しなかった場合よりも年金総額が大きくなります。
第1号被保険者・任意加入被保険者の方は、付加年金への加入を検討してみましょう。
3.3 未払い年金保険料を追納する
学生納付特例を利用した人や、年金保険料の免除・納付猶予を受けた人は、今までの未払い保険料を追納することによって、もらえる年金額を増やすことが可能です。
さらに、60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合は、60歳以降でも国民年金に任意加入することができます。
ねんきん定期便が来た際などに、未払い保険料がないか確認して、ぜひ追納するようにしましょう。
4. まとめにかえて
もらえる年金金額を具体的に調べたり、いくら年金が増えたら良いのか計算してみると、老後の生活がイメージしやすくなりますね。
今回ご紹介した内容を参考にしながら、もらえる年金額を増やすことはできないか、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和5年度送付分)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和5年4月から老齢年金の繰下げ制度の一部改正が施行されました」
- 日本年金機構「令和5年度「ねんきん定期便」50歳未満の方(裏)」
下中英恵FP事務所 下中 英恵