2. 筆者からの回答

いつかは来る「在宅介護の限界点」

takasu/shutterstock.com

2.1 「認知症が進行すれば、いずれは在宅介護の限界が来ます」

認知症が進行すれば、いずれは在宅介護の限界を迎え、施設入居を検討しなければならない時期が訪れます。そのため、できるだけ早い段階から施設入居を検討することが大切です。

相談者さんのように、国民年金だけが収入源の方の場合、選択肢は狭くなりますが、入居できる施設はいくつかありますのでご安心ください。

今回は、老人ホームの入居にかかる費用や年金額が少なめの方におすすめの介護施設を紹介していきます。

2.2 老人ホームでかかる費用

老人ホームに入居する際の費用は、契約時に支払う「初期費用(入居一時金)」と毎月支払う「月額費用」の2種類。

そのほかにも食費や医療費、日常生活費などの費用も必要となりますから、年金で無理なく費用を支払い続けることができる施設を選んでいきましょう。

さらに、高齢者向け施設には地方公共団体や社会福祉法人が運営元となる「公的施設」と、民間企業が運営元となる「民間施設」の2種類があります。

「公的施設」と「民間施設」どちらを選ぶかによって、施設利用にかかる費用には大きな差が出る点も知っておきましょう。

3. 【老人ホーム】施設のタイプ別 費用の目安

【一覧表】施設のタイプ別「老人ホームの費用の目安」

出所:各種資料をもとに筆者作成

ここからは、公的施設と民間施設の費用相場を整理していきます。一覧表を見ると、公的施設の方が、民間施設より比較的安い費用で入居できることがわかります。

4. 経済的な負担が少ない「介護保険施設」がおすすめ

相談者のケースのように「要介護3で認知症がある」「年金がひと月5万円」という方には、公的施設のなかでも「介護保険施設」への入居をおすすめします。

介護保険施設とは、介護保険サービスで利用できる特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院の3施設のこと。

介護保険施設は、認知症の方も入所可能です。また、入所時に前払いする「入居一時金」が必要なく、入所者が負担する費用は、毎月の利用料のみです。おむつ代も利用料に含まれているので、経済的な負担が少なく、民間施設よりも安い費用で利用できます。

さらに、住民税非課税世帯など所得の少ない方に対するさまざまな負担軽減制度が用意されているので、費用面に不安がある方でも入所しやすいという利点があります。