ネット上でお礼をしたい相手に「寄付金」を気軽に送ることができる、いわゆる「投げ銭サービス」をご存知でしょうか?

2月1日に開始された投げ銭サービス「Osushi」は、開始後すぐにサービスが一時停止するという事態になりました。サービスの事前登録者は数千人を超えるほどまで話題になっていた「Osushi」は、なぜ炎上してしまったのでしょうか?

「お寿司を投げ合う」サービス?

「Osushi」は、寄付金を「お寿司」としてクリエイターやエンジニアなどに送ることができるサービスです。……と言っても、知っている人以外には「は? 何言ってんの……??」という感じでしょう。

もう少し詳しく説明しましょう。「Osushi」では、参加したイベントの主催者や、面白いと思ったブログ記事の執筆者などに、ネット上で「お寿司」としてお金を送ることができます。お寿司は1貫100円で、一度に10貫分まで送ることができるようになっています。メッセージのみを相手に送りたい場合は「お茶」を利用し、その返信には「玉子」で返すという面白い設定もあり、サービス開始前から話題を集めていました。

わずか7時間でサービス一時停止に

しかしこの「Osushi」、サービス開始からわずか7時間で一時停止という状態になってしまいました。運営への批判が殺到したことが原因だと考えられます。

問題となったのが、個人情報の扱いです。「Osushi」では寄付金の決済がクレジットカードのみの対応となっています。しかし、そのカード情報が同意なしに記録されたり、二重決済が行われたりとトラブルが生じ、利用者がSNSなどで次々にそれらの不備・問題点を報告していました。

また、法的にも問題があるという指摘もあります。個人へ「お寿司」としてお金を送るというシステムは、個人間送金にあたるからという理由です。送金サービスを運営する場合には、資金移動業者として金融庁から登録を受ける必要があります。「Osushi」の運営会社「ウォンタ」は、この業者として登録されていなかったため、資金決済法に違法するのではと言われているのです。

クラウドファウンディングと何が違う?

「クラウドファンディング」は、支援金という形で個人へお金を送ることができるサービスとして知られています。この「クラウドファウンディング」では、支援金を募る人がお金の利用目的などを明らかにしています。そして、寄付金提供者へ返礼品として、イベントの参加権利や商品などを送る場合が多くなっています。

しかし「Osushi」はそういった送金する場合の条件のようなものは抜きに、個人へ送金できるサービスであることから、問題視されてしまったようです。

結局、安心して利用できるかが重要

最近ではネット上でお金のやり取りをすることが増えています。いつどこにいても利用できる便利サービスも増えている一方で、個人情報の扱いや法的問題など、解決しなければいけないことも多くなっています。

現状、「Osushi」はネット上で、「プログラミングだけわかる素人が『なんか面白いから』でつくった、セキュリティもぐだぐだなウェブサービス」という厳しい見方がされています。お金や個人情報を扱うサービスだけに、こうした見方がされているのは、仕方ない部分もかなりあるでしょう。

私たちの大切な財産を守るためにも、一見便利で面白そうなサービスでも、安心して利用できるかどうか、しっかりと見極めていきたいところです。

クロスメディア・パブリッシング