3. 末期がん父を看取った娘が後悔「やっておくべきだった相続準備」その3

親に遺言書を作成してもらいましょう。

遺言書を作成すると、どの財産を誰に相続させるのか、親が生前に指定することができます。

「うちの家族は仲がいいから心配ない」「我が家はそれほど大した財産は持っていないから」という考えは大間違いです。

親が生きているは特に表立ってトラブルにならないものの、いざ親が亡くなると子供たちの間で揉めに揉めてしまい、家族間に亀裂が入ってしまったというケースも少なくありません。

「令和3年(2021年)度 司法統計」によると、遺産分割に関する裁判は年間6934件発生しており、そのうちの76.6%が遺産総額5000万円以下のケースなのです。

親が元気なうちに遺言書を作成することを強くおすすめします。

4. 末期がん父を看取った娘が後悔「やっておくべきだった相続準備」その4

もはや富裕層だけのものとは限らない「相続税」

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4.1 相続税の試算をしておく

親の遺産にかかる相続税の試算をしておきましょう。

相続税は「富裕層の税金」というイメージが強いかもしれませんが、2015年に相続税法が改正されて以降、相続税の課税対象となる方2倍以上に増えました。

都心近郊に土地を持っていて、数千万円の金融資産があった場合、相続税の課税対象となる可能性は十分にあり得るのです。

また、相続税は亡くなった日から10カ月以内に現金で一括納付をすることが原則です。期限内に税金を払えない場合には、延滞税などのペナルティが課されます。

相続税の課税対象となるかどうか試算しておかないと、「自分は富裕層ではないから対象外だと思っていて、申告期限に間に合わなかった……」ということにもなりかねません。

生前のうちから相続税額を把握しておくことで、子供や孫に贈与をする、生命保険の非課税枠を活用する、などの相続税の生前対策を行うことも可能になります。