4. 年金月額14万円の世帯の住民税は非課税?
さて、表題にある「退職金1700万円・月額14万円」の年金収入の世帯の住民税の有無は、世帯の状況によります。
退職金が支給された年の翌年以降の収入は、年間168万円です。
日本年金機構「所得金額の早見表」によると、特殊な控除の要件がない場合、公的年金168万円の課税所得は58万円です。
先ほど示した東京都中央区を例にとると、二人世帯で一人が扶養となる配偶者であれば所得101万円までは非課税です。
そのため、課税所得58万円では非課税となります。
一方で、一人暮らしの場合は必然的に「扶養親族なし」となります。
非課税となる要件は課税所得45万円以下です。
そのため、年間の所得が58万円ですと、年間数万円の住民税が発生します。
ただし、ほかに生命保険による控除などがある場合では、一人暮らしでも課税所得が低減して非課税となるケースもあるでしょう。
5. まとめにかえて
住民税は、あくまで前年の所得を基準として決められるため、金融資産が大きくても、それだけで課税されることはありません。
老後資産を形成するうえで「貯蓄が多いせいで税金が増える」という心配は不要です。
ゆとりある老後生活を実現するために、積極的に資産形成を進めてください。
参考資料
太田 彩子
執筆者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
京都教育大学卒業。株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部において、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。ニ種外務員資格(証券外務員ニ種)保有。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
はたらく世代のお金の診断・相談サービスを行うマネイロでは、「【計算例付】厚生年金保険料はどのように決まる?ケース別算出方法や受給額を解説」など、お金や年金制度にまつわる記事を発信中。京都府出身。(2024年9月4日更新)