2. 【60歳代・おひとりさま世帯】貯蓄1000~1500万円未満は何パーセント?
2019年頃に話題となった「老後2000万円問題」。
夫婦2人世帯の平均的な年金収入と生活費から試算した結果、老後30年間で2000万円もの資金が不足するといったものでした。
おひとりさま世帯であれば、その半分となる1000万円が不足すると考えられます。
では、60歳代・おひとりさま世帯で「1000~1500万円」を達成している人はどれくらいいるのでしょうか。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」より、60歳代・おひとりさま世帯の貯蓄事情を確認します(金融資産を保有していない世帯を含む)。
2.1 【60歳代・おひとりさま世帯】の貯蓄1000~1500万円未満の割合
- 6.6%
2.2 【60歳代・おひとりさま世帯】の貯蓄1000万円以上の割合
- 33.9%
2.3 【60歳代・おひとりさま世帯の貯蓄額】平均と中央値
- 平均:1388万円
- 中央値:300万円
貯蓄1000~1500万円未満は1割未満ですが、貯蓄1000万円以上でみると約3割となりました。
60歳代のおひとりさまでは、貯蓄1000万円もないという方が多数となります。
より実態に近い中央値は300万円でした。
3. 【60歳代・おひとりさま世帯】貯蓄保有世帯のみの平均と中央値はいくらか
次に、同調査より貯蓄保有世帯のみの貯蓄額について見ていきましょう。
3.1 【60歳代・ひとり世帯】の貯蓄貯蓄1000~1500万円未満の割合
- 9.2%
3.2 【60歳代・ひとり世帯】の貯蓄1000万円以上の割合
- 47.5%
3.3 【60歳代・ひとり世帯の貯蓄額】平均と中央値
- 平均:1960万円
- 中央値:950万円
貯蓄保有世帯のみの貯蓄額をみると、貯蓄1000万円以上は47.5%となりましたが、半数は超えませんでした。
平均は2000万円近く、中央値は1000万円近くでした。
4. 「年金だけで生活できていない」世帯は56%
ご参考までに、シニア世代の年金暮らしの実態を確認しておきましょう。
厚生労働省が公表している「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金を受給している高齢者世帯のうち、年金だけで生活できている世帯は44%でした。
残りの56%、つまり2世帯に1世帯が「年金だけで生活できていない」ということになります。
年金収入だけではカバーできない支出を、私的年金や貯蓄の取り崩しなどによって補填している様子がうかがえます。
個人差があるものですが、年金だけで生活することの難しさを感じますね。
5. 貯蓄1000万円でも老後安心とはいえない場合も。早くから貯蓄を
これまで60歳代・ひとり世帯の貯蓄と年金額を確認してきました。
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、単身世帯の老後の生活費は15万5495円です。
これは社会保険料や税金を含んでおり、厚生年金の平均と比べると、男性であれば年金のみで生活できますが、女性は約5万ほど足りません。
また上記の生活費は持ち家を想定しており、賃貸であればさらに家賃分が必要です。
ほかにも老後の趣味や旅行、友人付き合い、病気や介護費用を考えると、貯蓄1000万円以上必要というかたもいるでしょう。
少子高齢化の日本では、年金受給額が減る可能性もあります。
それゆえ、早くから老後資金対策は必要です。
確実に貯蓄を貯めていくには、毎月の給料や収入から一定額を先に貯蓄し、残りのお金で生活していく「先取り貯金」が効果的です。
まずは先取り貯金で預貯金を貯めること。またある程度貯蓄が貯まったら、私的年金や新NISAなどの資産運用をとりいれることで、「お金に働いてもらう」ことを検討するのも一つでしょう。
資産運用となればリスクがあるので、事前の情報収集や勉強をしっかりおこないましょう。
ほかにも長く働き続けることで、老後資金に備えることも可能です。
これを機にご自身に合った老後のマネープランを考えてみてくださいね。
5.1 【ご参考】60歳代・ひとり世帯の貯蓄額一覧表(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:28.5%
- 100万円未満:8.0%
- 100~200万円未満:5.7%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:3.6%
- 400~500万円未満:2.7%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:4.6%
- 1000~1500万円未満:6.6%
- 1500~2000万円未満:3.6%
- 2000~3000万円未満:6.8%
- 3000万円以上:16.9%
参考資料
荻野 樹