3. 65歳以上世帯の「就業率」と「平均給与」はどれくらいか
貯蓄も年金も少ない場合、働き続ける必要が高まります。
近年では定年年齢の引き上げや定年制度の廃止、70歳までの雇用機会拡大などにより、シニアの労働環境が大きく変化しました。
高齢者の就業率を見ていきましょう。
3.1 シニアの就業率
内閣府「令和5年版高齢社会白書」によると、シニアの就業率は年々上昇しています。
60~64歳までの就業率は73%、65歳~69歳までの就業率は50.8%でした。さらに70歳以上でも、約34%と多くのシニアが働いています。
3.2 シニアの給与事情
定年退職後も働く場合、平均してどれくらいの給与を得ているのでしょうか。
2023年9月27日に発表された国税庁「民間給与実態統計調査」より、65歳~69歳の平均給与を見てみましょう。
65~69歳の平均給与
- 男性:428万円
- 女性:227万円
- 男女全体:342万円
男性においては、日本の平均給与となる458万円に遠くない水準の収入を得ていることがわかります。
もし厚生年金に加入しながら年金も受け取る場合、在職老齢年金として支給調整される可能性もあるため、年金と給与のバランスには注意が必要です。
継続して収入が見込める場合。繰下げ受給を検討するのも一案でしょう。
4. 65歳以上世帯の生活費はいくらかかるのか
最後に、年金暮らしを送るシニア世帯の毎月の生活費を見てみましょう。
「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」によると「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支は次のとおりです。
4.1 65歳以上「無職世帯」家計の収支
- 実収入:24万6237円(うち社会保障給付:22万418円)
- 消費支出:23万6696円
消費支出の内訳は以下の通りです。
- 食料:6万7776円
- 住居:1万5578円
- 光熱・水道:2万2611円
- 家具・家具用品:1万371円
- 被服及び履物:5003円
- 保健医療:1万5681円
- 交通・通信:2万8878円
- 教育:3円
- 教養・娯楽:2万1365円
- その他:4万9430円
さらに、非消費支出として3万1812円があるため、支出の合計は26万8508円となりました。
もし平均的な収入と支出で過ごす場合、毎月2万2271円の赤字となります。
これはあくまでも統計での数字なので、実際の世帯にあてはめれば「2万円程度の赤字はやりくりして黒字にする」という動きになるでしょう。
しかし、昨今の物価高騰で体感したように、年金暮らしが始まった後に物価が上がればす赤字になる可能性も十分あります。
老後の家計収支については、ギリギリではなく少しゆとりを持たせておきたいものです。
5. まとめにかえて
今回は65歳以上世帯の「平均貯蓄額」や生活費や年金額、65歳以上の給与について見ていきました。
65歳以上世帯(二人以上世帯)の貯蓄額平均は2414万円と簡単に準備できる金額ではないため、若いうちからコツコツと準備が必要になります。
そんな老後生活に向けた資金の準備方法は人によって様々です。銀行預金する方法もあれば、資産運用を活用する方法など現在の日本には多くの方法が存在します。
多くの方法をフル活用し、老後生活の収入源である年金だけに頼らない生活を今のうちから準備していきましょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」
- 内閣府「令和5年版高齢社会白書」
- 国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
長井 祐人