銀行にお金を預けても低金利で大した利息も付かないし…と、タンス預金をしている人もいるでしょう。
かつてはノーリスクの定期預金で年5~7%という時代もありましたが、いまは1%にも満たない状態。振込手数料や銀行窓口へ行くための交通費の方が高くつくから、と放置しているというケースもあるでしょう。
しかし、火事や盗難から大切な資産を守るには、銀行へ預けておいたほうが安心かもしれません。
今回は、銀行の窓口へ持参したタンス預金について、銀行側がどう対応するのか。そして、別の銀行へ振り込んだ大金は銀行間で監視されているのかといった疑問について解説していきます。
1. 家計資産(現金・預金)の約1割がタンス預金
タンス預金とは、金融機関に預けずに「現金」で保有する資金を指します。銀行の貸金庫に保管する現金もタンス預金に含まれます。
2023年12月20日、日本銀行が発表した「速報:資金循環統計(2023年第3四半期)」によると、2023年9月末時点のタンス預金は105兆7392億円と、家計における資産(現金・預金)のうち約1割がタンス預金となることが分かりました。
現金・預金:1112兆9929億円
- 現金(タンス預金):105兆7392億円
- 流動性預金:636兆270億円
- 定期性預金:364兆5340億円
- 譲渡性預金:53億円
- 外貨預金:6兆6874億円
家計の資産(現金・預金)の約9割は、普通預金や定期預金といった「預金」、つまり金融機関に預けられています。
2. タンス預金「1000万円」を銀行に預けたら何か言われる?
タンス預金の現金1000万円を普通預金や定期預金に預け入れようとすると、銀行の窓口に持参することになるでしょう。
ATMで入金することも可能ですが、1度に大量のお金を読み込ませることができないため、入金手続きに時間を要してしまいます。また、防犯上の観点からも窓口で預ける方が安心です。
しかし、銀行の窓口へ大金を持参したら「怪しまれるのでは?」「営業されるのでは?」と思い、躊躇してしまう人もいるでしょう。
事実、銀行の窓口ではまとまったお金を預け入れに来た顧客に、本人確認書類の提示と、お金の出どころや資金使途についてヒアリングを行うのが一般的です。
これは、セールスに繋げる目的もありますが、マネーロンダリングの対策としてルールに則り確認が行われているという側面もあります。
金融庁のホームページでも、多額の現金による取引などについては「金融機関の判断により、本人確認書類の提示に加えて、取引内容や取引目的について追加的な確認を受けることがあります。」と明記されています。
一通りの確認が行われ、タンス預金を持ってきただけで、特に資金使途は決まっていないことを伝えれば、年齢や収入、資産状況、資産運用に対するご意向などを確認して商品提案が行われます。
いわゆるセールス開始となるわけですが、低金利✕インフレの状態ですので、普通預金や定期預金などに大金を眠らせておくことに対してのリスク喚起ともいえるでしょう。