2024年1月29日、厚生労働省から令和6年(2024年)度の年金額改定が公表されました。
これにより、2年連続で公的年金額が引き上げられることがわかっています。
- 国民年金(老齢基礎年金):6万8000円(1人分※1)
- 厚生年金:23万483円(夫婦2人分※)
※1昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万7808円です。
※2平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準。
2月15日に「ことし最初の年金支給日」が迫っていますが、この日に支給される年金は、まだ2023年度分です。
2024年度の年金支給日や、年金からも天引きされるお金について見ていきましょう。
1. 2024年の年金支給日【カレンダー】
そもそも、年金は2カ月ごとの支給です。
国民年金と厚生年金など、基本的にどの年金も支払月は偶数月の15日となっており、前月までの2カ月分が原則として15日に支払われます。もし15日が土日祝場合、直前の平日に支払われます。
- 2月の支給日:15日(12月、1月分)
- 4月の支給日:15日(2月、3月分)
- 6月の支給日:14日(4月、5月分)
- 8月の支給日:15日(6月、7月分)
- 10月の支給日:15日(8月、9月分)
- 12月の支給日:13日(10月、11月分)
年金支給日の注意点として、対象月と支払月が若干ずれるため、年金受給者が亡くなったときは未支給分が発生することもあります。
この場合は遺族が請求し、未支給分を受給することが可能です。反対に死亡月後の年金が支払われてしまった場合、返還する手続きが必要です。
シニアにとって、2カ月に1度の年金支給日は待ち遠しいものです。ただし、年金から天引きされるお金があることには注意が必要です。
筆者も自治体職員をしていたときは、天引きに関する質問をよく受けていました。
2. 2月支給の年金から天引きされるお金とは
給与から天引きされるお金があるように、年金から天引きされるお金もあります。
- 所得税と復興特別所得税
- 個人住民税
- 介護保険料
- 後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)
それぞれの内容を見ていきましょう。
2.1 所得税および復興特別所得税
年金が一定額を超えると、所得税がかかります。公的年金は雑所得の扱いとなり、現在は65歳未満なら108万円、65歳以上なら158万円を超えると課税されます。
また「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、所得税の源泉徴収の際に併せて復興特別所得税もかかります。
ただし、障害年金や遺族年金は非課税なので所得にはなりません。
2.2 個人住民税
所得税とともに大事なのが住民税。前年中の所得に対してかかる住民税についても、年金所得が一定になれば課税されます。この住民税も、基本的には年金からの天引きで納めます。
住民税が決定されるのは6月なので、この2月15日に天引きされるのは原則として12月支給分と同じ金額になります。
2.3 介護保険料
介護保険料も天引きされます。40歳から64歳までは健康保険料に含めて支払っていたと思いますが、65歳以上になると「第1号」被保険者として単独で支払うことになります。
一定の要件を満たすことで年金から天引きされ、こちらは税金と違い「非課税」という概念がありません。
つまり、所得が低くても必ず支払う義務があるということです。」
また、介護状態になれば介護保険料を支払わなくてもいいと勘違いする方もいますが、支払いは一生涯続くことに注意しましょう。
2.4 国民健康保険料・後期高齢者医療制度の保険料
国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入している方は、その保険料も原則として年金からの天引きで納めます。
介護保険料と同様で、所得が低くても支払う義務があります。
「介護保険料が特別徴収になっている」など一定の条件があるため、普通徴収(納付書や口座振替)になるケースもあるでしょう。
※国民健康保険と後期高齢者医療制度はいずれかの加入になるため、同時に天引きされることはありません。
だれもが全てのお金を年金天引きで納めるわけではありませんが、額面と手取りが違うのはよくあることです。
ねんきん定期便などで確認するだけでなく、年金振込通知書にて実際の振込額も確認するようにしましょう。