2018年2月14日に日本証券アナリスト協会で開催された、ロードスターキャピタル株式会社2017年12月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:ロードスターキャピタル株式会社 代表取締役社長 岩野達志 氏
決算ハイライト
岩野達志氏(以下、岩野):2017年12月期の決算説明会ですが、主に3点、昨年17年の12月期の通期の決算の概要、2つ目に今年度、2018年12月期の業績予想、最後に今後の成長戦略について、お話しいたします。
まず、昨年度の通期の決算概要から、ご説明します。
決算のハイライトとしては、創業以来、6期連続で増収増益を続けております。
売上高の前期末比で言いますと、88.7パーセントの増加、経常利益も前期末で69.1パーセントの増加となっております。
「OwnersBook」は順調で、資家会員数は前期末比で343パーセントの増加、累積の投資金額で254パーセント強の増加となっております。
ここで言う投資家会員数は、本人確認が完了しており、いつでも投資できるような状況になっている投資家会員数のことを言い、これ以外にも、メール等でアドレスだけを登録しているような会員様もいます。
参考までですが、足元、昨日までで、投資家会員数で9,000名を超えており、去年から引き続き会員の登録は順調に増加している状況です。
連結業績
次に、連結業績です。
昨年度、今年もそうですが、不動産市場は非常に好調が続いております。
売上高は、当初の予算比で32.6パーセント増で着地をしております。
数字で言いますと、売上高で87億9,400万円、その中から原価を除いた売上の総利益で19億5,700万円、販管費を除いた営業利益で13億6,400万円、経常利益で11億8,900万円、純利益で7億9,400万円という着地になっております。
こちらは昨年度、当初の見込みから物件の入れ替え等はありましたが、売上高も30パーセント以上増えて着地しており、純利益も当初の予算よりはだいぶ上となって着地しております。
コーポレートファンディング事業の実績
その中で、売上の多くを占めているコーポレートファンディング事業について、ご説明します。
不動産投資の部門の方ですが、こちらは23区内のオフィスを中心に、8物件購入しております。
賃貸事業も、上記の購入と合わせて期末時点で14物件の保有をしており、帳簿価額合計で159億円、約160億円のものとなっております。
こちらは前期末に比べても36億円の増加、29パーセントの増加になっております。
弊社の販売用不動産というのは設立以来増加傾向にあります。
これは、弊社としては、不動産を保有することによって、より賃貸収入を増やしていく、会社の経営を安定させていく、というポリシーのもとで(物件を)増やしており、今後も、できる限り積んでいくかたちをとっております。
クラウドファンディング事業の実績
次に、クラウドファンディング事業です。
こちらは、まだまだ売上高、収益性という点においては小さいのですが、累積投資金額は、昨年末で36億円を超えるところまできております。
また、マーケティング・広告強化などを行っており、投資家会員数も約4.3倍、7,600名を超えております。
結果としては、クラウドファンディングの売上、総額では膨らみますが、1年間で約9倍の売上増加が見込まれており、今期も比較的増加していくと見込んでいます。
連結貸借対照表
次に、連結貸借対照表です。
販売用不動産を順調に積み上げており、その中で一部、個人の投資家から集めたお金を貸付金等に回しております。
(スライドを指しながら)ここで言うと、連結になっており個人からお預かりしているお金がバランスシート上に乗ってきてしまいますので、見にくいところがありますが、橙で囲ったところ、営業貸付金、これは外部に貸している金額の総額になります。期末時点では、ちょうど返済等もあり、11億円です。
個人からお預かりしているお金が29億円という数字になっております。
その中で、ネットアップし、匿名組合出資金を除いた自己資本比率は24パーセントです。昨年(2017年)上場したということ、資金調達したということもあり、業界水準に近いところとなっているのではないかと考えています。
以上が2017年業績の通期決算概要になります。
業績予想①
次に、2018年12月期の業績予想について、ご説明します。
売上高は、創業以来初の100億円を目指していくという流れを考えています。
また、経常利益は利益率で15パーセントを超えると考えている状況です。
業績予想②
こちらが2017年12月期との比較になります。
売上高は、19パーセント増加になります。昨年度、物件を多少入れ替えたこともあり、比較的簿価の低いものが今期の売却予定になっていることもありますので、総利益で言いますと、46パーセント増加の28億円になっております。
会社の販管費は、事業拡大に向けて、ある意味、会社としての基盤整備もしくは人員の増強というところが大きくなっています。昨年に比べると数字としては増えており、10億円程度の販管費を見込んでおります。
その中で、営業利益が18億1,200万円、経常利益で15億9,100万円、純利益で9億円を予定しています。
経営理念と事業領域 ~Fintech領域~
2018年の業績予想とも関連してくるのですが、今後の成長戦略について、ご説明します。
弊社は不動産とテクノロジーの融合が未来のマーケットを切り開くという経営理念のもと、Fintech領域と不動産テック領域、この2つのところをビジネスの柱として展開をしている会社です。
Fintech領域も、とくにクラウドファンディング事業、今行っているのが貸付型、今年の1月に許認可が整ったのがエクイティ投資型ということで、この2つのビジネスを主に展開を考えております。
クラウドファンディング事業の成長
先ほどの繰り返しになりますが、累積投資額で36億円というところまできており、投資家会員数も順調に増えております。
クラウドファンディングというのは、投資する側とお金を集めるところと、両輪が必要になるため、我々は、投資家会員も当然集めていきますし、その上でしっかりと投資もしていくというような流れを考えております。
エクイティ投資型 ~当社の目指す世界~
その中で、今年のテーマとも思っており、みなさんが興味を持っていただいている1つのポイントが、エクイティ投資型です。
クラウドファンディングのエクイティ投資型は、我々がマーケットの先駆者になっており、他にやっているところがないものですから、イメージがわかりづらいかもしれないので、少々補足して、ご説明します。
これまで個人が投資できる不動産の関連商品、もしくは現物の不動産は、例えば個人ならワンルームマンションを買ったり、ファミリーマンションを買ってそれを賃貸に出すというのが、不動産投資で一般的かと思います。
それに加えて、昨今、REITのマーケットが非常に拡大しており、こちらは不動産のエクイティの商品です。運用等々は運用会社に一任するというものです。
どちらかというと、しっかりしたスポンサーが持っている大きな不動産のポートフォリオに対して、個人が投資しているというのが大きな流れだと思います。
それに対して、通常はプロ限定の投資領域、不動産投資ファンドというのが一般的だと思いますが、例えば機関投資家やヘッジファンドなどが、お金を不動産運用会社、いわゆるアセットマネジメント会社に委託して、運用するビジネスがあります。
これは私も前職でやっていたようなビジネスですが、リターンが低いものでも7、8パーセント、高いものになれば20パーセントくらいを目指して運用するのが一般的です。
ところが、不動産に関して言うと、個人がそのような不動産の投資商品に投資する機会は原則ほとんどないと思います。
一部、富裕層向けのヘッジファンドではあるのかもしれないのですが、例えば収益不動産、銀座のビルを買いたいと思った時に100万円で投資できるような商品というのは、今この世には、ほぼ存在していないと思います。
一部、不特法(不動産特定共同事業法)を用いた投資商品がありますが、同法の制約があるため、例えば、あまりレバレッジが効かなかったり、投資金額が1件当たりが大きくなっていくという問題があります。
我々が考えているのはプロの投資領域、ストラクチャーでいうとGK-TK(匿名組合出資契約)といわれるものです。個人が匿名組合出資をして、プロの投資ファンドに投資するようなスキームをつくれないかとやっているのが、エクイティの投資型になります。
ポイントは、大きな投資案件です。プロフェッショナルが投資するような何十億円という案件に個人が少額から投資参加できること、もう1つは機関投資家のみがこれまで投資できた投資チャンスに個人も加わることができるというのが、大きなポイントだと思います。
エクイティ投資型 ~個人投資家の不動産投資~
(スライドを指しながら)これがおもなエクイティ性の商品のグラフです。通常先ほどいったような現物不動産があります。こちらに関しますと比較的借入もできますが、投資額が1億円、2億円となりますので、なかなか個人では手が届きにくいレベルのサイズになります。
また、通常働いている方々は、サラリーマンもそうですが、日中不動産の管理をする手間暇があまりとれないので、そういうところでなかなかハードルが高いというのが現状だと思います。
一方、REITです。いい商品だとわたしも思っているのですが、どうしても運営には複数の会社が関与せざるをえない、透明性の観点もありますし、全部物件の諸費用を各個人に、というところで我々から見るとどうしてもコストが割高になってしまいます。
我々が考えているエクイティ型の商品は、例えばREITでは20物件、30物件、もしくは50物件というのがバルクのポートフォリオになっているところ、そうではなく1物件1物件に対して個人が100万円なり200万円なり投資していくものです。
かつ、ネット上ですべて完結できますので、管理コストが最小限に抑えられます。不動産に関わらずネット性の商品はすべてそうですが、ネットを最大限活用することによって、余計なコストを削減して、パフォーマンスを個人の投資家に還元できるような商品にできるのではないかと考えております。
エクイティ投資型 ~収益構造~
通常は不動産があって、そこに銀行から借入をします。場合によってはメザニンローンという劣後抵当、2番抵当みたいなものを設定して、最後に自己資金でまかなっていくというのが通常のストラクチャーです。
我々が今やっている貸付型のモデルは、自己資金を持っている不動産会社が保有する不動産に対して、メザニンローンもしくはシニアローンを個人の方々から出資を募って、そこに貸付をするというモデルです。手数料でいうと貸付額のだいたい2パーセントを中心に我々の売上として、いただいています。
これがエクイティ型になると、銀行ローンもしくはメザニンローンについては、外部の金融機関から調達します。自己資金のところも個人から集めて運用していくという流れになります。
REITとの大きな違いでいいますと、先ほどのコストのところもそうですが、あくまでもエクイティ性の商品なので、例えば期間を決めて3年なり5年なりで、最終的には売却までした上で配当するというのが原則になります。売却益も含めたパフォーマンスになっていくということが考えられます。
当然、必ずしも売却益が出るというわけではありませんが、我々のこれまでの経験や弊社のメンバーの不動産投資の実績からすると、マーケットの中で割安に放置されているものや、しっかりと付加価値を与えられるものを拾ってきて、そこに関して会社として価値を加えていくということで、最終的には売却益も享受できるような投資をしていきたいと考えております。
貸付型
貸付型についての説明に戻ります。2014年6月から手がけております。(実績は)順調に増えてきております。
個人の方々が「OwnersBook」というサイトを通じて不動産保有会社に貸付を行ういます。その中の利息・元本が返ってきて、それが個人に配当されるという流れです。
クラウドファンディング事業のリスク/リターン
我々のリスクリターンでいいますと、貸付型は現在貸付金利で4.5パーセントから高いもので6パーセントぐらいです。ですので、平均利回りは5パーセントぐらいになっております。
おかげさまで、弊社がこれまで募集してきた案件では、貸倒があったり、支払いの遅延等が起こったことは、幸いにしてまだ1件もありません。将来にわたってまったく起こらない、というわけではないですけども、よりリスクの低いもの、しっかりと返済できるものを選別して貸付をしているのが実態です。
エクイティ投資型のクラウドファンディングは、リスクは貸付型はローンのところより上がりますが、当然リターンも上がってくると思います。REIT等に比べますと、先ほどいったようにコストが削減される分、リターンは高くなるのではないかと考えています。
クラウドファンディング事業を拡大していくにあたって、先ほどお伝えしましたとおり、2つポイントがあります。
1つは投資家をしっかりと育てていくこと、2つ目はしっかりと案件を見つけてくるということです。それに向けていろいろな提携や業務の拡大も考えております。
業務提携1:松井証券
その業務提携の1つ目の例が松井証券さんです。
年末に発表し、2月4日からスタートしております。松井証券さんのサイト内で「OwnersBook」を紹介してもらって、彼らの持っている100万口座を超えるような個人の方々に見ていただいて、興味のある方には会員登録していただきます。
今の我々の投資家層は、おもに30・40代のサラリーマン層ですが、もう少しシニア層で富裕層の方々を証券会社が多数抱えておりますので、そういう方々にも参加してもらうということです。
証券会社からしても、一般的な株であったり債券と異なった商品を提供することによって、投資商品の種類を増やしていくのはお互いに有意になるのではないかというところで、まずは松井証券さまと提携をしております。
業務提携2:オリックス銀行
一方で、今度は案件を増やしていくというところもありますので、例えばオリックス銀行さまと事業提携をしました。
オリックス銀行さまには、例えば借入のご相談があった案件等がありまして、その中で、銀行の事情でどうしても融資できない、一方で我々から見たらとくに問題なく対応できるというものについて、我々のスピード感であったり意思決定のはやさ、マーケットに精通している事情などに鑑みながら、案件をつくっていくということも考えております。
以上がクラウドファンディングの説明です。
経営理念と事業領域 ~不動産投資領域~
次が不動産投資領域です。
ここはあくまでも旧来型の不動産投資のビジネスになります。復習を兼ねて説明しますと、我々が現在行っているのはコーポレートファンディング事業という、自己資金を用いた不動産投資、それに加えてアセットマネジメント事業と仲介・コンサルティング事業等を行っております。
コーポレートファンディング事業の概要
コーポレートファンディング事業は、これもおさらいにはなりますが、我々が投資対象として注力しているのは中規模のオフィスビルです。大規模オフィスビルは機関投資家、海外のソブリンのファンド、REITとの競合が激しく、利回り3パーセント前後で勝負をしています。
一方、小規模オフィスビルは手続きがどうしても煩雑になってしまったり、個人の方が相続目的等で売買されたりもしますので、少しマーケットがゆがんでいます。
我々は中規模のオフィスビル、金額でいうとだいたい5億円から30億円ぐらいのビルを主なターゲットとして、注力して投資をしております。
ほかの不動産会社との差別化としては、我々は不動産の投資をしてきたメンバーが多数おります。20年超の経験と不動産ネットワークを用いて、得られた情報をよりスピーディに意思決定して判断していく、その中で最終的に購入したものをバリューアップやリーシング等をして付加価値を加えていくということです。
最終的には賃貸運営をしていくのですが、我々の目線より高い値段でも買いたいという方が現れた場合には、売却も検討していくという流れのビジネスになっております。
コーポレートファンディング事業の持続的成長
コーポレートファンディング事業の持続的成長、つまり、より魅力的な案件を見つけるのは最近では困難ではないかというご意見もあります。弊社としては、昨年約93億円と2016年より減ってしまっていますけれども、引き続きマーケットの中で(魅力的な物件を)探していく努力をしております。今年に入ってからもいろんな案件の申し込み、ご相談等がありますので、順調にこなしていけるのではないかと思います。
昨年は、購入できると思っていたいくつかの大型案件が売り主の事情で断られてしまったり、売渡しまではいただいても契約にいたらなかったケースが何件かありました。それがあって金額は少なくなっておりますが、100億円以上の購入は今期は十分に見込まれるのではないかと思います。
保有不動産
保有不動産です。
(スライドを指しながら)上2つが、2016年に購入したものです。「CORNES HOUSE」と「横浜伊勢佐木町ワシントンホテル」です。
下2つが今期購入したもので、「池袋パークフロントビル」「カンダエイトビル」といったところで、金額でいうと20、30億円ぐらいのクラスのビルになっております。
株主還元
今後の株主還元に向けてです。
配当の基本方針は、業績拡大によって企業価値・株主利益の向上に努めていくため、配当性向15パーセントを目安に考えております。
実績でいいますと、昨年度一度上方修正しており、最終的には11円の配当を決定しております。
今期は、あくまでも予定ですが、12.5円の配当を考えております。
以上が弊社の説明です。
そのほかAppendixとして、会社の概要やクラウドファンディングのマーケット、「OwnersBook」の利用者属性、弊社の主要な株主であるRenrenグループの概要を説明をしております。
ありがとうございます。