11月5日に公表された厚生労働省「第19回社会保障審議会年金部会」では、これまでの「モデル年金」に代わる新たな年金モデルが示されました。
これまでの標準夫婦のモデル年金額は、平均的な収入(平均標準報酬月額43万9000円)で40年間働いた場合に受け取る「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」の合計額を基準にしていましたが、現在の多様化したライフスタイルにはそぐわないとの声がありました。
今回提示された新しいモデルは、若い世代が自分たちの将来の年金額をイメージしやすくするためのものです。これにより、働き方や家庭のあり方が多様化する中でも、自分の年金受給額を具体的に想像できるようになることが期待されています。
本記事では、老後の生活の柱である国民年金や厚生年金の受給額について、現在のシニア世代が実際に受け取っているデータをもとに詳しく確認していきます。
1. 日本の公的年金制度はどんな仕組み?
「国民皆年金」の日本では、原則として「国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人」に国民年金への加入義務があります。また一定の要件を満たす人は、国民年金に加えて厚生年金にも加入します。
なお、公的年金には「老齢年金・障害年金・遺族年金」がありますが、本記事ではシニア世代の暮らしと最も関連が深い「老齢年金」にフォーカスしてお伝えします。
1.1 国民年金(老齢基礎年金)
- 加入対象:原則、日本に住む20歳以上60歳未満の全員が加入
- 年金保険料:一律(2024年度:月額1万6980円)
- 老後の年金額:保険料納付月数に応じて決まる。480カ月の全期間納付した場合、満額(2024年度月額:6万8000円)が受給できる。
1.2 厚生年金(老齢厚生年金)
- 加入対象:民間企業や官公庁などに雇用される人(所定の要件を満たしたパート・アルバイトの人も含む)
- 年金保険料:報酬(給与・賞与)に応じて決まる(上限あり)
- 老後の年金額:納付済の保険料で決まる
なお国民年金(老齢基礎年金)は、保険料納付済期間(保険料免除期間なども合算)が10年以上ある場合、原則、65歳から受け取ることができます。
老齢厚生年金は老齢基礎年金の受給資格を持つ人が、老齢基礎年金に上乗せする形で受け取ります。
次では、今のシニア世代の年金事情について見ていきましょう。