アメリカ海軍直伝の「呼吸法」で折れない心を手に入れる

「もっと集中しないと仕事が終わらない!」「大事なプレゼンがあるのに緊張して集中できない……」そうして焦れば焦るほど、深みにはまっていってしまう。そんな経験、みなさんにもありませんか?

アメリカ海軍の特殊部隊「シールズ」で過酷な訓練を乗り越えてきたマーク・ディヴァイン氏が、著書『アメリカ海軍が実戦している「無敵の心」のつくり方』で述べている、ストレスに打ち勝つ集中力を手に入れる方法をご紹介します。

集中を邪魔するストレスは悪者?

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たいていの人は、健康と幸福の秘訣はストレスを「取り除いたり」「避けたり」することだと考えている。しかし、私たちが人間として成長するためには、ストレスのような力が必要である。誰でも毎日、膨大なストレスに向き合っているが、ストレスと上手に付き合えるものが勝者となるのだ。

しかし、「想定外のストレス」に見舞われると、私たちはそれを苦痛だと感じる。疲れているとき、うまく対処する準備ができていないとき、ストレスはパフォーマンスに悪影響をおよぼす。

ストレスを取り除く「ボックス呼吸」

では、そのような想定外のストレスに対処するためにはどうすればいいのか。

これについては、私が「ボックス呼吸」と呼んでいる呼吸コントロール法を紹介したい。ボックス呼吸は、吸って、止めて、吐いて、止めて(詳細はのちほど)といった1-1-1-1の比率が箱を思わせることからこの名前がついている。これは私にとっての秘密兵器だ。ストレスに反応しない、穏やかで集中した心を作り出すのに極めて効果的だし、簡単で安全な方法だからである。

筆者のマーク・ディヴァイン氏の著書(画像をクリックするとAmazonのページにジャンプします)

呼吸で心身をコントロールする

呼吸のコントロールを練習すると、思考を静め、心拍数を下げ、自律神経系を整えることができる。それによって、集中を邪魔する動揺の元となるストレスに体が反応してしまうのを、防ぐことができるようになる。

すると、混乱や恐怖で心身が弱っている中であっても、的確な決断をするために、目の前の状況に集中することができる。海軍特殊部隊の「対溺死訓練」では多くの訓練生が脱落するが、それは彼らが訓練によるストレスと恐怖心をうまくコントロールできないからだ。パニックを起こして激しくもがき、エネルギーをドブに捨ててしまうのである。

しかし呼吸のコントロールが身についた者は、この演習を楽々とこなす。

呼吸の意識とコントロールは、重役会や手術、基調講演、重要な会議の進行などでパフォーマンスを上げることにも、同じくらい効果を発揮する。

呼吸コントロールの基本トレーニング

「ボックス呼吸」を始める前に、まずは呼吸をコントロールするための基本的なトレーニングをやってみよう。

(1)鼻呼吸でお腹に空気を入れる

まず、鼻から深く息を吸い込む。吸い込んだ息で腹を満たし、風船のように空気で膨らませる。

吐き出すときには、腹の空気を残らず鼻から出す。腹のなかに空気が残らないよう、へそを背骨のほうにへこませる感覚だ。

このサイクルを3回から5回繰り返す。

(2)胸にも空気を入れる

次は、(1)と同様に腹を空気で満たすが、腹が「いっぱい」になったら、さらに横隔膜を使って息を吸い込み、肋骨を膨らませるように胸にも空気を入れていく。

息を吐くときには、最初は空気を胸から出して肋骨を一か所に寄せ、そのあと腹から出していくイメージで行う。

このサイクルを3回から5回繰り返す。

(3)鎖骨まで空気を入れる

最後に、腹と胸を空気で満たしたら、さらに息を吸って空気を胸の上部から鎖骨まで入れるようにイメージする。この時、胸の上部が上がって広がるのを確認する。

吐くときには、まず胸の上部、次に胸、そして腹から息を出す。圧を解放するにつれてリラックスし、身体が沈んでいくような感覚を覚えるだろう。

呼吸コントロールのコツ

この3段階の呼吸法は、身体の3つの部分(腹・胸・鎖骨)が空気で満たされ、その後、順々に出ていくことに意識を集中させるものだ。私はこの呼吸パターンを「リラックス呼吸」と呼んでいる。

注意する点は、息を吸うのも吐くのも鼻だけを使って、できるだけゆっくりと、コントロールを利かせて行うことだ。鼻呼吸は、とくに息を吐くときに副交感神経を刺激して活性化し、交感神経系から生じる「恐怖反応」に対抗することができるようになる。

さらに集中力を高める「ボックス呼吸」とは?

冒頭で紹介した、私の秘密兵器である「ボックス呼吸」では、リラックス呼吸と集中のスキルが同時に磨かれる。深い呼吸で、吸う息と吐く息の長さを揃えれば、ストレスが大幅に軽減され、心拍数が下がり、神経系のバランスが元に戻る。

ボックス呼吸では、吸って、止めて、吐いて、止めてを、1-1-1-1のリズムで繰り返す。

ではまず、肺から空気をすべて出すところから始めよう。

次に、5つ数えながら吸って、5つ数えながら息を止める。

息を止めても、どこかを締めつけたり背中に圧をかけたりはしない。息を吸い込むのをやめるだけで、胸はせり上がりつづける。

次いで、5つ数えながらゆっくり息を吐いたらそこで止め、5まで数える。

呼吸の効果をさらに高めるためには

ボックス呼吸のトレーニングでさらに効果を上げるなら、息を止めるたびに、「任せとけ」「楽勝だ」「どんどん良くなっている」など、ポジティブな言葉を自分自身に投げかけてみることをおすすめする。このテクニックは、大事な会議やイベントの前で使うこともできる。これはストレスとうまく付き合いながら勇気を奮い立たせるための万能のアプローチである。

深く、長く、途切れることのない、見事な集中力は、大成功を収めた人間の特徴的なスキルだ。だが、集中力を高めるには練習するしか道はない。まずは一日に一度、5分から10分行えば十分だ。

では早速、記事を読む手を5分間止めて、試してみてほしい。

(『アメリカ海軍が実戦している「無敵の心」のつくり方』をもとに編集)

■マーク・ディヴァイン(Mark Divine)
ニューヨーク出身。ニューヨーク大学MBAを修了し、公認会計士として働いていたが、キャリアチェンジして米国海軍特殊部隊シールズに入隊し、170期の最優秀訓練生に選ばれる。退役後は、シールズでの経験を生かしてフィットネスプログラムなどを開発し、企業家として活躍している。

翻訳:露久保由美子

アメリカ海軍が実戦している「無敵の心」のつくり方 (Business Life)

マーク・ディヴァイン(Mark Divine)

参考記事

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執筆者

ニューヨーク出身。ニューヨーク大学MBAを修了し、公認会計士として働いていたが、キャリアチェンジして米国海軍特殊部隊シールズに入隊し、170期の最優秀訓練生に選ばれる。退役後は、シールズでの経験を生かしてフィットネスプログラムなどを開発し、起業家として活躍している。