3. 老後は貯蓄だけでなく年金をもらえる
夫婦が100歳まで生きた場合に平均で1億1270万円のお金が必要となることを確認しましたが、1億1270万円すべてを自分たちで用意する必要はありません。老後は年金がもらえます。
厚生労働省年金局「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、会社員などの厚生年金受給者がもらえる年金の平均額は月14万3973円です。
また、会社員経験のない自営業者や専業主婦(夫)の平均年金受給額は月5万6316円となっています。
そのため、夫婦が現役時代にどのような働き方や生活をしていたかによって老後にもらえる年金額は大きく異なります。
夫婦ともに会社員で共働きの場合、夫婦合計で月に約28万8000円、年間で約346万円の年金がもらえる計算です。
夫婦の寿命が100歳の場合、合計で約1億2110万円の年金を受け取れるため、老後にかかる費用1億1270万円を年金受給額が超えています。老後に向けて貯蓄をしなくてもさほど問題ないでしょう。
一方で、自営業者の夫と専業主婦の妻の場合、老後にもらえる年金は月に約11万3000円、年間で約135万円と少額です。夫婦の寿命が100歳の場合、受け取れる年金は合計で約4725万円となります。老後にかかる費用約1億1270万円との差額は約6545万円となるため、4000万円の貯蓄があっても足りません。
これが、「貯蓄4000万円」でも老後が不安な世帯がある理由となります。
4. 年金受給額と生活費をシミュレーションしてみよう
本記事で紹介したとおり、老後に必要となる金額は世帯によってさまざまです。
世帯によっては、4000万円の貯蓄があっても老後が不安な世帯もあります。そのため、まずは自分の世帯が老後にどれくらいお金を必要とするのかをシミュレーションしてみましょう。
年金受給額と老後の生活費を把握できれば、老後に必要な金額のシミュレーションが可能です。何歳まで生きるかは事前にわかりませんが、寿命ごとにかかる金額を知っておくだけでも必要な金額の具体的なイメージが持てます。
日本年金機構の「ねんきんネット」を使えば簡単に年金受給額をシミュレーションできるので利用してみてください。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査/貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表」
- 厚生労働省年金局「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告【家計収支編】2022年(令和4年)平均結果の概要」
苛原 寛