3. 40歳代・50歳代が老後に向けて意識するポイント4点
40歳代・50歳代で貯蓄が中央値以下の方は、いまいちど老後に向けた資産形成を意識しましょう。
ここからは、資産形成において意識するポイント4点を紹介します。
3.1 65歳までのライフプランを立てて、収支を保守的に見積もる
まずは、これから65歳までのライフプランを立てて、そのうえで収支を確認しましょう。
今現在貯蓄が少なくても、全ての世帯が危険水域にあるとは限りません。
まずは、老後までの収支額と資産額の推移を試算して、不足額を明らかにしましょう。
たとえば、子供の教育費負担が重い世帯は、子供が独立すれば月々の収支の大幅な改善が期待できます。
また、正社員のサラリーマンの場合は、退職する際に支給される退職金が資産額を大幅に増やす役割を果たすでしょう。
住宅ローンの返済が完了していない世帯は、返済が終われば収支が改善します。
一方で、60歳前後で役職定年を迎えれば、収入が下がる恐れもあります。
将来の収入の減少まで加味した保守的なライフプランを立てて、対策の必要性を確認してください。
3.2 家計の見直しをして、毎月貯蓄や投資に回せる状態を作る
ライフプランを立てた結果、老後資産が不足することがわかったら、貯蓄・投資に回す資金を増やすために家計を見直しましょう。
まずは、家計簿をつけて家計の現状を明らかにしてください。
使途不明金や明確な浪費の有無を明らかにして、支出を減らせないか検討しましょう。
特に着目したいのは、毎月定常的に支出が発生する固定費です。
固定費を削ると継続的に収支改善の効果があるため、節約効果が高いといえます。
たとえば通信会社や料金プランを変えて通信費を抑えたり、電力会社・電力プランを変えて光熱費を抑えたりといった対策が考えられます。
生命保険や損害保険で過剰な特約・プランに加入している方も少なくありません。
保険を見直して保険料を圧縮するのも一案です。
節約は重要ですが、無理な切り詰めで生活の質をさげてしまっては長続きしません。
生活スタイルをできるだけ変えずに済む項目から節約できないか考えてみましょう。
3.3 新NISAを活用した積立投資を
貯蓄に回せる状態になったら、2024年から始まった新NISAを活用して投資にチャレンジするのもひとつです。
過去の統計に基づくと、投資は長く続けるほど損益が安定し、プラスの収益を確保できる可能性が高くなります。
投資収益が資産拡大のペースを拡大すれば、65歳時点でより潤沢な資産を築けるでしょう。
とはいえ、40歳代~50歳代で過度なリスクを取って資産を大幅に減らすわけにはいきません。
たとえば、債券と株式に分散投資するバランス型ファンドなど、適度なリスクの投資信託に投資するのが、有効な選択肢の一つです。
3.4 健康でいることも重要
健康を維持して働ける状態で65歳を迎えることも、有効な対策の一つです。
万が一、65歳時点で充分な資産を形成できなくとも、働き続ければ生活は維持できます。
老後の年金+労働収入が月々の支出を上回れば、65歳を過ぎても資産を増やすことが可能です。
資産規模が充分な額に達した段階で引退すればよいでしょう。
65歳まで健康を維持できれば、万が一資産形成がうまくいかなかった場合でも安心です。
4. まとめにかえて
貯蓄ゼロ世帯は40歳代・50歳代の方が30歳代より多い一方で、2000万円~3000万円や3000万円以上貯蓄がある世帯の割合は、年代が上がると共に増加しています。
40歳代・50歳代で貯蓄が中央値以下の方は、いまいちど老後に向けた資産形成を意識しましょう。
参考資料
太田 彩子