2018年2月2日に行われた、宇部興産株式会社2017年度第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:宇部興産株式会社 執行役員/グループCFO 藤井正幸 氏
2017年度第3四半期決算説明会
藤井正幸氏(以下、藤井):みなさん、こんばんは。宇部興産の藤井でございます。本日はお忙しいところ、ご参加いただきましてありがとうございます。
それでは早速、本日発表いたしました2017年度第3四半期の連結決算につきまして、資料に沿ってご説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
連結対象会社
まず2ページ、連結対象会社の一覧でございます。連結子会社数70社ということで、前期末に比べて1社増・1社減ということで、数の上では0ということになりますが、右に書いてございますように増加は宇部興産(上海)有限公司、減少が株式会社複製テックでございます。
それから持分法の適用会社は24社ということで、前期末から1社増・2社減のトータルマイナス1社。減は宇部興産(上海)有限公司、それと鮫川生コンクリート株式会社ということです。以上のところまでの4社の移動につきましては、第1四半期の移動ということで、すでにご説明済みでございます。この第3四半期に入ってまいりましたのは、持分法の適用会社で1社増。常熟宇菱電池材料有限公司と。
これは中国の電解液の三菱ケミカルさんとの合弁会社でございまして、昨年12月に競争法の審査がすべて完了しましたので、12月に当社としては出資を行っています。
そういった関係で、この第3四半期に持分法に入ってきたということでございますけれども、実際の営業につきましてはこの1月からスタートしています。ですから、これらの連結対象会社の移動につきましては、連結損益上とくに大きな影響はございません。
環境要因
次に3ページ、環境要因でございます。為替レートはご案内のとおり、前年同期に比べますと5円の円安ということでございます。それからナフサ価格・ベンゼン価格・豪州炭、石炭の価格。いずれも資材価格につきましては、昨年の同期に比べて上昇したというところで、コストアップ要因になっているわけでございます。とくに石炭の値上がり等、比率が高いというところになっています。
主要項目
次に4ページ、主要項目の一覧でございます。全体感としましては、第2四半期までの傾向を大きな流れとしては引き継いでいまして、増収減益を確保しているといったところでございます。売上高は5,070億円、対前年同期で671億円の増収。それから営業利益は376億円、対前年同期で149億円の増益。
経常利益390億円ということで、同じく164億円の増益。親会社株主に帰属する四半期純利益266億円ということで、115億円の増益ということです。増益幅も、かなり大きな増益を確保できているということでございます。バランスシート項目につきましては、また後ほど出てまいりますので、そちらでご説明をさせていただきます。
売上高(セグメント別)
次に5ページ、売上高のセグメント別の内訳でございます。一番下のところで、トータルとしては前年同期比で671億円。率にすると15パーセントの増収ということでございますけれども、内訳はここにお示ししているとおりでございます。医薬は若干減収ということではございますけれども、その他の事業セグメントにつきましては、すべて増収を確保できているというところでございます。
中でも大きいのは化学の418億円ということで、差異の要因を(スライドの)右にお示ししています。ナイロン・ラクタムチェーンで166億円。ナイロン・ラクタムチェーンともに価格要因が主なところでございますけれども、そういったところでのプラス。それから工業薬品につきましては、アンモニアの国内の定修が今年度は行われていませんので、そういった関係の数量増の影響等がこちらに入っています。
それから合成ゴム123億円の増収ですけれども、こちらも価格要因ということで価格アップで増収。それから電池材料・ファインのところですけれども、電池材料、数量、車載向けで増えていますので、この数量要因。またファイン、高純度等も需要堅調で増収になっています。それからポリミイド・機能品のところも、ポリミイドの需要堅調でございますので、そういったところ。
あるいは明和化成ですとかグループ会社も含めて、機能品系が数量を伸ばしていると、そういう影響でございます。それから医薬はロイヤリティの減少で、若干減ということでございますけれども。建設資材につきましてはセメント・生コン、数量増が効いているところでございます。それから機械も155億円の増収ということで、成形機3機ともに売上は増収ということになっています。
あとは射出成形機、三菱重工さんから事業の統合をいたしましたので、新規連結が入ってきたと。この影響も含まれています。
それからエネルギー・環境で82億円の増収でございますけれども、大きくは石炭の74億円。石炭価格がアップしているといったところと、あと数量も販売炭・預り炭ともに数量が増えているといったような影響でございます。そうした影響でトータル671億円の増収ということになりました。
営業利益(セグメント別)
次に6ページ、営業利益のセグメント別の内訳でございます。一番下の行のところで、前年同期に比べて149億円の増益。66パーセント弱の増益となります。内訳ご覧いただきますと、やはり一番大きいのは化学のところでございまして、177億円増益ということでございます。
内訳また右にお示ししていますけれども、ナイロン・ラクタムチェーンで77億円。このうちナイロンにつきましては、昨年度第4四半期に原料となるラクタム価格が高騰しまして。ここでスプレッドが圧縮されて、ある意味取り損ねたと申しますか、その分が今期になって取り戻している部分。ですから、第1四半期でこの部分はプラスが出ていますけれども、それがずっと継続しているといいますか、残っている部分。
それから工業薬品につきましては、国内のアンモニア工場の定修がなかった年であると。ですから補修費が減少していますし、先ほど申しましたように数量も増加している。これも第1四半期に出てきたもので、その影響が残っている部分。それからあとはラクタムのスプレッドが拡大しているという部分。これがかなり大きいわけでございますけれども。
これは第1四半期、第2四半期、それから第3四半期もそれぞれ対前年でスプレッドは拡大しているということで、ここの増益が上乗せされているというところでございます。それから合成ゴムで54億円の増益となっていますけれども、こちらも合成ゴムのスプレッドの拡大によるものでございまして。先ほどのナイロンと同じように、昨年第4四半期に原料のブタジエンが急騰いたしまして。ここで製品価格の転嫁が追いついていなかったところ。
これが今期の第1四半期になりまして、原料のブタジエンは急激に低下したと、価格が下がった。一方の製品価格は、その前の期の高い原料を反映した製品価格。ここでスプレッドが大きく拡大したということでございます。その後、原料のブタジエンも落ち着いてきています。ですからここの差異のところ、ほとんどは上期に出た増益の差異が残っているというところでございます。
それから電気材料・ファインで14億円ということでございます。電池材料は電解液・セパレータともに車載向けで数量が伸びていますけれども、とくにセパレータでこの数量増が利益貢献をし始めているというところでございます。それからファインケミカル、高純度も先ほど申しましたように、全般的に需要堅調ということで利益は増益になっています。
それからポリミイド・機能品で29億円ということでございますけれども。ポリミイド、需要堅調でございまして、第2四半期まででも増益になっていましたけれども、第3四半期も引き続き好調を維持できたというところでございます。
その他、全般的に機能品等、数量増の影響もありまして、トータルとして化学では177億円。大きな増益を確保できたといったところでございます。医薬につきましては、ほぼ前年並みの損益でございます。それから建設資材、ここはマイナスの26億円ということで減益になっていますけれども、セメント・生コンでマイナスの28億円と。
このうちやはりセメントに関しまして、石炭価格の上昇の影響、コストアップの影響を受けているというところ。それからセメントの輸出の採算性が悪化した部分。下期に入っても輸出価格がそれほどどんどん下がっているということではなくて、ある程度落ち着いてきてはいるわけですけれども、対前年ではそういったところでのマイナスがここのところに出ているというところでございます。
それから機械は売上増に伴う増益ということで、11億円ほど増益。それからエネルギー・環境はマイナス7億円。内訳、電力でマイナスの9億円となっていますけれども、IPPの定修がこれも2年に1度の定修ですけれどもございまして、これも第1四半期でございますけれども、その影響が残っているというものでございます。これらをトータルしまして、最終的に149億円という増益に結びついたということでございます。
営業利益分析(セグメント別)
続きまして7ページ、今の営業利益の差異のところを価格差・数量差・固定費差等で分解したものでございます。一番下のところをご覧いただきますと、トータルの差異149億円の増益のうち、価格差で78億円のプラス。数量差のところで67億円のプラス。それから固定費差のところでマイナス19億円が出ています。
価格差のところの内訳として大きいのは、化学のところのプラス115億円というところでございます。ここは先ほど化学のところでもご説明いたしましたけれども、合成ゴムのスプレッドの拡大の部分。それからラクタムのスプレッドの拡大の部分。ここの2つがこの中のかなりの部分を占めるということでございます。
それから一方、価格差で建設資材でマイナスの29億円とございますけれども、こちら石炭価格のコストアップによる影響。それからセメントの輸出価格低下による影響といったところでございます。それから数量差のところでは、トータル67億円のプラスですけれども、そのうち化学でプラスの35億円。内訳としまして電池材料、電解液・セパレータともに数量が増えていますので、これらの数量増。
それからポリミイドにつきましても、数量が増加している。その他機能品等ということで、この35億円の増益になっています。それから建設資材も数量差という面で見ますと、セメント・生コン等の数量増ということで、プラスの14億円というようなものが出ています。それから固定費差のところですけれども、化学のところのプラス21億円。これがアンモニアの定修が今年度はなかったという。対前年ではここでプラスが出ている部分でございます。
その他建設資材のところ、人件費・労務費・請負作業料等、こういったところでの固定費のアップ分ございますし、機械のところでは新規の射出成形機の事業会社、これが連結に入ってきましたので、固定費のところで固定費が増加している。
一方、その他のところで限界利益としては増加していますので、ここの入り繰りの部分がございます。そういった影響で、固定費差のところはマイナスの19億円ということでございます。
営業外損益
次の8ページ、営業外損益の内訳でございます。営業外損益、この第3四半期累計トータルではプラスの14億円ということで、前年に比べて15億円ほど改善しています。中でも改善の大きいところは、持分法による投資損益というところでございまして、前年同期に比べて9億円ほど改善をしています。持分法適用会社も業績が堅調であるということでございます。
特別損益
次に9ページ、下の特別損益のところでございます。この第3四半期まで累計ベースで、固定資産処分損等でマイナスの9億円というのが出ていますけれども、とくにまとまった特別利益あるいは特別損失は今のところ発生していないということでございます。
営業利益〜四半期純利益
次に10ページ、営業利益から今ご説明した営業外損益・特別損益等を、もう一度整理をしたところということでございます。最終的にこの第3四半期累計で、親会社株主に帰属する四半期純利益で266億円。1株当たりの四半期純利益、これは10月1日付で株式の統合を行っていますけれども、その統合後のベースで253.94円ということになっています。
貸借対照表
次に11ページ、バランスシートの項目でございます。この第3四半期末、総資産7,348億円ということでございます。前期末、3月末と比べて、254億円ほど資産は増加しているということでございますけれども、このうち為替の影響が90億円ほどございます。
あと増加している部分等を申しますと、運転資金等です。とくにたな卸資産等、営業の業容拡大であるとか売上の増加などがございますので、少したな卸資産が増加しているということです。
一方の負債でございますけれども、負債トータルで3,992億円ということで、これは前期末と同じでレベルでございました。
それから純資産でございますけれども、3,353億円ということで、前期末に比べて251億円ほど積み増しができていると。自己資本のところで268億円ほど増えていますけれども、前年同期に比べて純利益の部分、積み上がってきているというところでございます。
キャッシュ・フロー計算書
それから12ページ、キャッシュ・フロー計算書でございます。営業活動によるキャッシュ・フロー、この第3四半期まで累計で425億円をキャッシュ創出しています。内訳は右にありますけれども、前年同期に比べてやはり利益が増えていますので、そこのところでキャッシュの創出が増えているということでございます。
それから投資活動によるキャッシュ・フロー、マイナスの262億円。前年同期とほぼ同じくらいのレベルの投資のキャッシュ・アウトということでございました。差し引きフリー・キャッシュ・フローは163億円ということでございました。このキャッシュを財務活動によるキャッシュ・フローということで、配当金の支払から有利子負債の削減と、今期は自己株式の取得をしていますので、こういったところにキャッシュを使ったということでございまして。
最終的にこの四半期末の現金及び現金同等物の残高は、364億円ということで収まったというところでございます。
それからあとは参考資料ということで、四半期ごとのデータですとか指標といったものをお付けしていますので、またご覧いただければと思います。
それから通期の業績予想でございますけれども、今回は通期の業績予想は、昨年10月26日に修正発表した数値をそのまま据え置きということにさせていただいています。私からの説明は以上でございます。