2024年1月19日、厚生労働省より2024年度の年金額引き上げが発表されました。

厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は23万483円、国民年金の満額は6万8000円と、前年度比2.7%の増額となるようです。

しかし、物価上昇率には追いついておらず、実質的には目減りとなると捉えられています。さらに、ここから税金や保険料が天引きされるため、手取り額はより少なくなると考えておきましょう。

穏やかなセカンドライフを送るポイントが「貯蓄」。そして、無理のない貯蓄形成の鍵となるのは、将来を見据えた長期的な計画です。老後に必要な資金を逆算することで、具体的な貯蓄目標を立てやすくなります。

今回は、金融広報中央委員会の資料に基づき、70歳代以上・二人以上世帯の貯蓄額に焦点を当てて探ってみましょう。

1. 現在、シニア世代は「経済的な心配がない」状態で生活できているのか

高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査より、経済的な不安に関する質問

出所:内閣府「令和5年版高齢社会白書」

内閣府が公表した「令和5年版高齢社会白書」では、75歳以上の12.5%が「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と回答。57.8%が「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」を選択しました。

双方をあわせると、シニア世代の約7割は家計を心配していない結果になりました。65歳から74歳までの世代、高齢者全体で結果をみても傾向は大きく変わっておらず、大半の高齢者は家計を心配せずに生活しているといえます。

ただし今回の調査で、日々の生活費に「多少なりとも不安」を感じるシニア世代が約3割程いることも見逃せません。