2. 母子世帯への公的支援
母子世帯の経済的なサポートをすることを目的として、さまざまな公的支援制度が設けられています。
それぞれ対象となる条件が決められていますので、条件に該当するものを上手に活用することで、経済的な負担を軽減できるでしょう。
2.1 児童扶養手当
児童扶養手当は、母子世帯・父子世帯の生活の安定と自立促進のために支給される手当金です。
18歳に達する日以降の最初の3月31日までにある子ども(一般的には、高校卒業まで)、または所定の障害状態にある20歳未満の子どもを養育している親に支給されます。
ただし、支給されるのは所得基準を満たした方で、支給金額は所得に応じて以下のように決められています。
【子供1人】
- 全額支給(月額):4万4140円
- 一部支給(月額):4万4130円~1万410円の間で10円単位で変動
【2人目加算】
- 全額支給(月額):1万420円
- 一部支給(月額):1万410円~5210円の間で10円単位で変動
【3人目以降加算】
- 全額支給(月額):6250円
- 一部支給(月額):6240円~3130円の間で10円単位で変動
2.2 児童育成手当 (東京都独自の制度)
児童育成手当は、18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある子ども(所定の障害状態にある子どもは20歳未満)を養育している方に支給される手当金です。
こちらも所得制限があり、限度額以上の所得がある場合は支給されません。
手当月額は、子ども1人につき1万3500円で、障害がある場合は1人につき1万5500円です。
なお、児童育成手当は東京都独自の制度となっているためご注意ください。
2.3 ひとり親家庭住宅手当
ひとり親家庭住宅手当は、ひとり親の住生活の安定や向上を図ることを目的とした制度で、市区町村ごとに設けられています。
18歳未満や20歳未満の子どもを養育しており、一定の所得条件を満たしている方が対象です。
支給金額は自治体により異なるため、参考までにいくつか例をご紹介します。
- 浦安市 :家賃1万円を超えた額に対して1万5,000円(月額)を限度として支給
- 国立市:住宅費(月額)の3分の1(上限1万円)
- 鎌倉市:月8,000円まで支給
2.4 ひとり親家族等医療費助成制度
ひとり親家族等医療費助成制度は、ひとり親世帯の方が病気やけがで病院を受診した際にかかる費用の一部を、自治体が代わりに負担してくれる制度です。
18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間(障害がある場合は20歳未満)にある子どもを養育している方が対象です。
所得制限が設けられているほか、支給内容は自治体により異なるため、詳細はお住いの自治体の窓口でご確認ください。
2.5 国民健康保険・国民年金の免除
国民健康保険料は所定の所得基準を下回る場合、負担額を軽減してもらうことができます。
災害や特別な事情がある場合は減免や納付猶予をしてもらうことも可能なため、お住いの自治体の窓口で相談してみましょう。
また、国民年金保険料の支払いが難しい場合は、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」を利用できます。免除額は、全額・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4種類です。
ただし、減免を受けると将来受け取れる年金額が減ってしまうため、経済的な余裕がでてきたら追納することをおすすめします。追納ができるのは過去10年以内のものに限られる点に注意しましょう。
3. まとめにかえて
シングルマザーの平均年収は306万円で、約75%の方が生活が苦しいと感じています。ひとり親世帯の子どもの貧困率も44%と深刻な状況です。
母子世帯は経済的に余裕がないことが多く経済的な不安が付きまといますが、こういった状況を支援すべく、自治体ごとにさまざまな支援制度が設けられています。
子育てや住居、医療など生活費に直結するものも多くあるため、お住いの自治体にはどのような支援制度があるのか調べてみましょう。
参考資料
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
- 東京都福祉局「児童扶養手当」
- 新宿区「児童育成手当」
- 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
木内 菜穂子