3. 介護費用は「親自身のお金から」がベスト。親の資産を守るためにできることとは
先述の調査結果によると、65歳以上男女の約9割が「自分の介護費用は自分で」と考えていることが分かりました。では子ども世代の意識はいかに。
家族信託サービスを提供する株式会社ファミトラが行った「親の老後のお金調査」によると、8割の人が「親の介護施設入居には親の資産をあてにしている」という結果が出ています。一方で、約8割の人が親の預金額を知らないというデータも。
認知症で判断力が低下すると金融機関の口座が凍結されたり、不動産売買などの契約が不可能になる可能性があることをご存じの方も多いでしょう。同調査では、約9割の人が親名義の不動産が売却ができなくなる可能性に備えて何らかの対策をとっていないことも分かりました。
「介護施設の入所費用は、自宅を売却した資金でまかなうつもり」となどと親が準備してくれていたとしても、必要なタイミングで売却・現金化することができなくなる可能性もあるわけです。
介護費用は、まずは「親自身のお金から出してもらう」心構えが大切です。ある程度の年齢になったら、親の資産状況はある程度知っておくことは必要だと筆者は考えます。また、必要に応じて任意後見や家族信託などを利用していくのも一案でしょう。
参考資料
- 内閣府「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」
- 生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」
- 株式会社ファミトラ【敬老の日 調査】8割の人が「親の介護施設入居には親の資産をあてにしている」にもかかわらず、7割の人が「認知症になると親名義の不動産の売却ができなくなる可能性があることを知らない」実態があきらかに(PR TIMES)
吉沢 良子