年末年始の帰省で「親の介護」について考え始めた人も多いのではないでしょうか。

2025年には「団塊の世代」たちがすべて75歳以上になります。家族の介護を自分ごととして受け止める人は増えていくでしょう。健康のこと、そしてお金のこと、気になりますよね。

住宅資金・教育資金とともに「人生の三大資金」と呼ばれる老後資金。3つの中でも「いつごろから、どの程度必要になるか」が見えにくい部分ですね。介護がどの程度必要かによっても大きな個人差が出てくるところでしょう。

今回は、みんなが気になる「介護が必要となった場合の費用」について、内閣府などの資料を交えながら整理していきます。近い将来、家族のケアにあたるかもしれない「介護予備軍」のみなさんの参考になればと思います。

1. 介護にかかるお金、みんなの平均額はいくら?

さいしょに生命保険文化センターが公表した「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」から、介護費用、および介護期間の平均データを見ていきます。

1.1 介護にかかる「お金や期間」みんなの平均は?

【グラフ1】介護にかかるお金「一時的な費用の合計」だけで約74万円

※公的介護保険サービスの自己負担費用を含む

  • 一時的な費用の合計【平均額】:74万円

1.2 【グラフ2】「在宅介護」と「施設介護」ひと月の介護費用の平均は?

  • 月々の費用【平均額】:在宅介護4万8000円、施設介護12万2000円

1.3 【グラフ3】平均的な介護期間は約5年(61.1カ月)

平均的な介護期間は約5年。住宅改造や介護用ベッドの購入といった「一時的な費用」の合計と、「月々の費用」のトータルは、在宅介護で約370万円、施設介護で約820万円となります。

ただしこれは「かかった(支払った)費用がない」ケースを0円として計算した結果の平均額。

在宅介護の場合は、家族と同居しているかどうかでも変わります。施設介護の場合は、公的施設(特別養護老人ホームなど)か、民間施設(有料老人ホームなど)かで大きく差が出るでしょう。

次では、40歳代~60歳代の「親の施設入居のお金」に関する意識調査の結果も見ていきましょう。

2. 【65歳以上の男女に聞いた】介護費用は、どこから出しますか?

内閣府の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」では、全国の65歳以上の男女を対象に「将来排せつなどの介護が必要となったときの、介護費用の捻出をどうするか」についてたずねています。回答結果を見ていきましょう。

2.1 【グラフ4】9割が「自分のお金(年金・貯蓄・資産売却など)でまかなう」と回答

【グラフ4】によると、排泄などの介護が必要となった場合、63.8%の人が「年金等の収入でまかなう」と答えていることが分かります。

「貯蓄でまかなう(18.3%)」「資産を売却する(3.1%)」と合わせると、介護費用を自分自身の資産から捻出すると答えた人が全体の85.2%を占めているのです。

3. 介護費用は「親自身のお金から」がベスト。親の資産を守るためにできることとは

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takasu/shutterstock.com

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先述の調査結果によると、65歳以上男女の約9割が「自分の介護費用は自分で」と考えていることが分かりました。では子ども世代の意識はいかに。

家族信託サービスを提供する株式会社ファミトラが行った「親の老後のお金調査」によると、8割の人が「親の介護施設入居には親の資産をあてにしている」という結果が出ています。一方で、約8割の人が親の預金額を知らないというデータも。

認知症で判断力が低下すると金融機関の口座が凍結されたり、不動産売買などの契約が不可能になる可能性があることをご存じの方も多いでしょう。同調査では、約9割の人が親名義の不動産が売却ができなくなる可能性に備えて何らかの対策をとっていないことも分かりました。

「介護施設の入所費用は、自宅を売却した資金でまかなうつもり」となどと親が準備してくれていたとしても、必要なタイミングで売却・現金化することができなくなる可能性もあるわけです。

介護費用は、まずは「親自身のお金から出してもらう」心構えが大切です。ある程度の年齢になったら、親の資産状況はある程度知っておくことは必要だと筆者は考えます。また、必要に応じて任意後見や家族信託などを利用していくのも一案でしょう。

参考資料

吉沢 良子