都心でコイン駐車場料金が値上りと報じられる
コイン駐車場は、普段、クルマに乗る・乗らないにかかわらず、誰もが毎日のように見かける場所ですが、最近、都心の駐車場料金は値上がりに転じてきたということをご存じでしょうか。
2018年1月26日付けの日本経済新聞では、ある大手駐車場運営会社の話として「都内に持つコインパーキングのうち16カ所の1時間当たり料金を調べたところ、17年は半分の8か所が16年に比べて上昇した」ことが紹介されています。
その背景としては、地価の上昇や建設需要の高まりから駐車場に利用できる空き地が減っていることなどが指摘されています。また、地方では、都心のようには値上がりはしていないものの、需要は比較的堅調であることも指摘されています。
人口減や若者のクルマ離れなど、さぞかし駐車場ビジネスも厳しくなっていると思いきや、実は業界環境はそれほど悪くないことをこの記事からは感じとることができます。
では、実際に駐車場ビジネスを行っている会社の業績はどうなのでしょうか。それを探るために、まずは業界最大手のパーク24(4666)の最近の決算を通して見てみたいと思います。
増収、減益だった2017年10月期決算
2017年12月14日に発表された2017年10月期の決算は、売上高が2,330億円(前年同期比+20%増)、営業利益は205億円(同▲4%減)と、利益面でやや力強さに欠ける決算になっていました。
ただし、減益の主要因は海外駐車場事業の買収に伴う一過性の費用増の影響が大きかったためであり、全社売上の約6割を占める国内の駐車場事業に限れば、売上高は1,484億円(同+6%増)、営業利益は254億円(同+2%増)と堅調でした。また、営業利益率も17%と高い水準を確保しています。
今期は増収、増益を予想
一方、2018年10月期の会社予想は、売上高は同+25%増、営業利益は同+10%増と増収、増益が予想されており、営業利益は過去最高益が見込まれています。
このうち、主力の国内の駐車場については、件数ではなく利益額を重視した開発を進めることや、駐車場ごとにきめ細かな運営を行うことで小幅ながら増益が予想されています。また、モビリティ事業は、カーシェアの稼働率改善により、海外事業はM&A効果により、それぞれ大幅な増益が見込まれています。
今後の注目点
このように、今年度の同社の業績は全体として堅調な見通しですが、依然として同社の主力事業は売上で全体の6割、営業利益(消去・調整を除く)で約9割を占める国内駐車場事業であるため、その動向が最も気になるところです。
そこで注目されるのが、国内で運営するコインパーキング「タイムズ駐車場」の稼働率(=実際の駐車時間÷24時間)の動向ですが、1月18日に発表された月次速報によると、2017年12月実績は47.2%と、10月の46.6%から0.6ポイントの改善となっていました。
2018年10月期通期では46.9%と前年度通期の45.6%から1.3ポイントの改善が計画されているため、足元の動きはほぼ計画に沿ったものと捉えられると思います。
ちなみに、稼働率があまり上がり過ぎることは「タイムズ駐車場はいつも混んでいる」という印象を与えてしまいかねないため、短期的には業績にプラスでも長期的にはマイナスに働くリスクも考えられます。また、それを防ぐためには、土地オーナーの解約を防ぐことや、新規開発をタイミング良く、適切に行っていくことが求められます。
このため、都心部を中心に空き地の不足感が高まるなかで、こうしたきめ細かなコントロールを行えるかどうかも注視していく必要がありそうです。
LIMO編集部