4. 繰上げ・繰下げ受給は微増
老齢年金の受給は原則65歳となっていますが、60歳~64歳までに前倒しする「繰上げ」、66歳~75歳までに後ろ倒しする「繰下げ」を選択することも可能です。繰上げ・繰下げともに1ヶ月単位で受給開始をずらすことができます。
なお、「繰下げ」を選択した場合、受給開始を1ヶ月後ろ倒しにするごとに年金額が0.7%増額されます。
一方、「繰上げ」を選択した場合には、受給開始を1ヶ月前倒しにするごとに年金額が0.4%減額され、生涯に渡り減額された年金を受け取ることになるため慎重に判断する必要があるでしょう。
さて、2022年度末現在の繰上げ・繰下げの利用率について、データを確認していきましょう。
4.1 厚生年金の繰上げ・繰下げ受給
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、老齢厚生年金受給権者のうち、特別支給の老齢厚生年金の受給権者を含まない受給権者の繰上げ・繰下げ受給状況をみていきます。
2022度末現在、繰下げ率は1.3%、繰上げ率は0.7%と、どちらも前年度より0.1%増となっています。
2022年度末時点で70歳の厚生年金の繰上げ・繰下げの受給状況も見ておきましょう。
※2022年4月以降に繰下げ年齢の上限が70歳から75歳(65 歳に達した日後に受給権を取得した者は繰下げの上限が5年から10 年)に引き上げ。下表は年度末時点で 70歳の老齢厚生年金受給権者の繰上げ・繰下げ状況。
70歳の繰下げ率は2.1%。1.2%だった2018年以降、年々上昇傾向にあることが見てとれます。