2.2 定額減税が適用された場合 

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今回の定額減税が適用されると、所得税額や住民税額が減少するため住宅ローン控除できるものがなくなり、結果的に年末調整時の還付金が受けられない、または少なくなる可能性が出てきます。

以下の家庭の場合で、定額減税が適用されない場合とされる場合とで還付金にどのくらいの差が生じるのか比較してみましょう。

  • 家族構成:夫・妻・子ども2人(妻と子どもは扶養親族)
  • 住宅ローン残高:4000万円
  • 所得税:12万円

【適用されない場合(従来の場合)】

住宅ローン控除が28万円利用できる場合、所得税12万円が全額差し引けるので、所得税額は0円になり、年末調整で12万円が還付されます。

住宅ローン控除はまだ16万円余っているので住民税からも差し引けますが、住民税の控除限度額は「前年度課税所得×5%、最大9万7500円まで」です。

【適用される場合(2024年6月~)】

定額減税が適用されると、納税者(夫)と扶養親族3名の合計4名分で所得税が12万円(3万円×4人)減税されることになります。もともとの所得税額は12万円なので12万円の減税を受けると税額は0円です。

住宅ローン控除は28万円適用できますが、定額減税により所得税が0円になっています。適用できる分がないため年末調整で還付を受けられるものがなく、結果として住宅ローン控除がむだになってしまうのです。

この住宅ローン控除による恩恵を受けられない分について、どのような扱いになるのかは現時点で未定です。住宅ローン控除を受けている世帯は子育て世代も多いことから、給付など経済的負担を軽減するような措置が取られることを期待したいところです。