2.2 「転職なし」の場合
60歳まで同じ企業で働き続けるケースも見てみましょう。
転職ありのケースと同様に、「大学卒・従業員数1000人以上」の生涯年収が最も高くなっています。
また、あくまでも概算値ではありますが、「転職なし」のほうが生涯年収はやや高い傾向にあります。
3. 生涯年収は公務員のほうが高い?
「モデル給与例」を踏まえて算出するならば、国家公務員の「本府省課長」、地方公務員の「部長」まで昇進した場合の生涯年収は3億3000万円程度と推定されます。
大企業の会社員よりも高い水準と言えますが、公務員は職種や役職、勤務地などに大きく左右されるため、今回紹介したデータを単純比較することはできません。
実際には、モデル給与例のように順調に出世し、生涯年収が3億円を超えるといったケースは少数なのではないでしょうか。
その点を踏まえれば、従業員数が1000人以上の大企業に長く勤めるほうが、生涯年収は高くなるといえるでしょう。
4. まとめにかえて
今回は公務員と会社員のデータを比較してみましたが、当然ながら実際の生涯年収には個人差があります。
就職や転職などを検討するならば、より具体的な条件を基にシミュレーションしてみるとよいでしょう。
また、近年は働き方が多様化しており、終身雇用という概念も薄れつつあることから、公務員や会社員といった肩書にとらわれずに生きていく方も増えています。
個々の能力次第で収入が大きく変わる時代なので、生涯年収を増やすなら視野を広げてみるのもよいかもしれません。
※2023年12月19日内容を一部修正しました。
参考資料
- 帝国データバンク「2023年冬季賞与の動向調査」
- 内閣官房内閣人事局「国家公務員の給与(令和3年版)」
- 東京都人事委員会「給与決定と算出のしくみ」
- 独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2022 ー労働統計加工指標集ー」
加藤 聖人