新しいNISAを活用するうえでの、利用者目線での難しさ
ここまでご説明したように、新NISAでは、「成長投資枠」だけでも、「長期・積立・分散」の資産運用を行うことが可能です。
年間の非課税枠も「成長投資枠」は「つみたて投資枠」の2倍に設定されており、投資できる余裕資金が多い人にとっては、より使いやすいと言えるでしょう。
ただし、生涯の非課税枠1800万円をすべて使いたい場合には、「つみたて投資枠」の利用が必要となります。1800万円のうち、600万円は「つみたて投資枠」専用となっています。
この非課税枠の使い方に、利用者目線での難しさが隠れています。「成長投資枠」と「つみたて投資枠」をうまく組み合わせて、最適な分散投資を実現する方法を考えなければならないことになります。
それぞれの枠でいくらずつ投資するか、どの銘柄を購入するかを決めるのは、簡単ではないでしょう。そのため、多くの場合は、「つみたて投資枠」を利用して、人気の株式のみの投資信託を購入するという行動を選びたくなるかもしれません。
「つみたて投資枠」で一つの投資信託を選ぶのはシンプルな方法で、これから資産運用を始める方や金額が少ない方にはおすすめできます。しかし、前述の通りリスクを取りすぎてしまったり、そのまま放置しておくとライフステージの変化に対応できず、退職時に非常に高いリスクを取っていたりすることにつながりかねません。
長期投資では、資産の種類も分散させて、リスクを抑えることが非常に重要です。自分で最適な分散投資を実現するのが難しい場合には、プロに相談して方針を決めるなど、新NISAを十分に活用するための準備をすることをおすすめします。
参考資料
ウェルスナビ株式会社 小松原 和仁