ワンオペ育児というと、ママ1人で子どものお世話をする物理面が問題視されています。一方で理解されにくいのが、精神面の大変さ。今回はワンオペ育児のメンタル部分の問題点を7つほどご紹介します。
1日中緊張感で張り詰めっぱなし
一般的に寝返りを始める5~6カ月頃から、ケガや誤飲の心配の減る3歳頃までは、子どもから目が離せません。それ以外の時期でも、子どもは大人の想像のつかない物でケガをするもの。新生児は布団が顔にかかっていないか心配ですし、兄弟喧嘩でケガをすることもあれば、小学生になっても思わぬケガや火傷はあります。
1日中ケガをさせないよう目を見張らせるのは、結構な緊張感です。1~2分、目を離した隙にケガをすることもあるので気が抜けません。好奇心の赴くままに動き回る子どもを追いかけるため、家事は日に何度も中断され、トイレに行くのも子どもと一緒ということも。何をせずとも緊張するだけで疲れてしまいます。
「しっかり遊ばないと」という義務感
「ワンオペ育児=しつけや教育もママ任せ」ということに。大事な我が子ですから、できるだけ教育してあげたいと思うママも多いでしょう。未就園児を持つママは「しっかり遊んであげないと」という義務感が1日中付きまとい、頑張って遊びます。
今の一文に違和感を抱かれた方もいると思いますが、本来遊びは「しっかりと」「義務感を持って」「頑張って」するものではありません。昔のように子ども同士で遊んだり、祖父母両親が入れ替わりそれぞれのできる遊びをするなら、そうはならないでしょう。
これが母親が1人きりで1日中子どもと遊ぶとなると、義務感なくては遊べません。大人になれば毎日本気でおままごとにブロック遊びに泥遊びに……とはハマれないですよね。しばしば「自分はきちんと遊べているだろうか」という迷いも消えません。
子どものグズグズに対応しきれない
0歳児期、眠いとき、イヤイヤ期、また何もなくとも子どもはギャン泣きやグズグズをします。ギャン泣きやグズグズにはいくつか対処法があり、気が済むまで泣かせておいて良いときもあれば、うまく気をそらせるときもあります。
ところが部屋中響き渡る声で日に何度も泣かれると、大人1人きりでは子どもに気持ちが引きずられやすくなります。何をしても泣き止まない我が子に、時には怒ったり、一緒に泣いてしまうことも。
他に1人でも大人がいれば、「眠いんだね」と原因を話し合うだけで、一歩離れて冷静に子どもを見ることができます。交代で子をなだめることもできますし、それぞれのアイディアで子どもの気をそらすこともできるのです。
テレビやスマホを見せると罪悪感
筆者は転勤族で2児をワンオペ育児し、定住して3人目が生まれ現在は3児のワンオペ育児をしています。時々祖父母に手伝ってもらうようになりましたが、テレビやスマホを見るときの罪悪感に差を感じました。
大人2人以上で子どもにテレビを見せるときは、さほど罪悪感を感じません。ところがママ1人でテレビを見せていると、30分でも罪悪感を感じるのです。たとえるなら「学生が授業をサボるときに1人だと罪悪感があるけど、2人以上だと気が大きくなる」心境でしょうか。とはいえワンオペ育児では、人が足りない代わりにテレビやスマホに頼らないとなかなか家事ができません。
自分の時間がゼロで満たされない
今では当たり前のように語られますが、ワンオペ育児では自分の時間ゼロです。「母親だから子ども中心で当たり前だし、可愛い我が子だから満足できるはず」という意見もあるでしょう。
しかしママはママである前に、ひとりの人間です。人間は自分が満たされて、はじめて他人を満たすことができます。24時間365日自分の時間ゼロで他人を満たすことは、人間はできません。この自分の時間ゼロが「何で私ばかりこんな苦労を」という不満をもたらし、育児や夫婦関係にも影響を及ぼします。
寂しい思いをさせる切なさ
2人以上子どもがいる場合、1人のお世話をしていると他の子の相手ができません。たとえば下の子が黄昏泣きをしているときに上の子とは遊べませんし、上の子の宿題を見ているときは下の子と遊べません。
誰か1人に待っていてもらうわけですが、待てずに泣かれたり、テレビを見せておいたりということも。他に大人が1人いれば遊んでくれて気も紛れますが、寂しい思いをさせなければいけないのが切ないところです。
本来可愛いと思うときに思えない
ワンオペ育児でつらいのは、本来可愛いと思えるときに思えないところです。「可愛い」という感情は、心身に余裕がないと感じることができません。睡眠が十分とれ、緊張感を張り詰めず、義務感を持っていないときに感じられるものです。日々成長する子どもは可愛いところだらけですが、それに気付く余裕を持ちにくいのです。
ワンオペに物理面のつらさがあれば、精神面のつらさもそれ以上にあります。中には「ママなんだから弱音を吐いてはいけない」と気を張り詰め、メンタル面のつらさに見て見ぬふりをしてしまう人もいるでしょう。メンタル面のつらさを「言ってはいけない」ではなく、話し合える社会になると良いですね。
宮野 茉莉子