今年も残すことあと少し。冬が近づいてきて、暖房を使う頻度も増えてきたのではないでしょうか。物価が高騰するうえに、電気代も増えて家計が苦しいと感じる人もいるのではないでしょうか。
物価上昇といえば、物価の変動に応じて年金生活者支援給付金が変動するのはご存知でしょうか?今年は2.5%の増額となるそうです。
ただ、年金生活者支援給付金とは何かという方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は年金生活者支援給付金とは何か、どんな方がもらえるかなどについて見ていきましょう。
1. 年金生活者支援給付金のキホン
公的年金やその他の所得が低く、経済的な支援を必要としている人に支給されるのが年金生活者支援給付金です。
これは、社会保障と税の一体改革に伴い、2019年10月に導入された経緯があります。
老齢年金生活者支援給付金には、以下の3種類があります。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
2023年度の基準額は下記のとおりです。それぞれ前年度より2.5%の増額です。
- 老齢年金生活者支援給付金:5140円
- 障害年金生活者支援給付金:1級は6425円、2級は5140円
- 遺族年金生活者支援給付金:5140円
また、実際の金額は支給金額は2.5%の増額とならない場合もあります。これは、保険料納付済期間や保険料免除期間等に応じて金額が算出されるためです。
2. 年金生活者支援給付金の金額はどう決まるか
実際に支給される年金生活者支援給付金の金額は、それぞれ次のように決定されます。
2.1 老齢年金生活者支援給付金
老齢年金生活者支援給付金の額は、月額5140円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出されます。具体的には下記の合計で求めます。
- 保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5140円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
- 保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1041円 × 保険料免除期間※/ 被保険者月数480月
生年月日によって異なるケースもあるので、詳細は近くの年金事務所や市町村窓口で相談するといいでしょう。
2.2 障害年金生活者支援給付金
障害年金生活者支援給付金は下記の通りです。
- 障害等級2級:月額5140円
- 障害等級1級:月額6425円
2.3 遺族年金生活者支援給付金
遺族年金生活者支援給付金は、一律で月額5140円となります。
ただし、複数の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5140円を子の数で割った金額がそれぞれに支払われます。
3. 年金生活者支援給付金の支給要件とは
次に、年金生活者支援給付金の支給要件をチェックしていきましょう。
3.1 老齢年金生活者支援給付金
老齢年金生活者支援給付金の支給要件は下記のとおりです。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が78万1200円以下である
以上の条件をすべて満たしている人が対象となります。
※障害年金や遺族年金等の非課税収入は計算に含みません。
3.2 3.2 障害年金生活者支援給付金
障害年金生活者支援給付金の支給要件は下記のとおりです。
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得が472万1000円以下である
上記の支給要件をすべて満たしている人が対象となります。
※所得の計算には障害年金等の非課税収入を含みません。また、基準となる所得は扶養親族等の人数によって異なります。
3.3 3.3 遺族年金生活者支援給付金
遺族年金生活者支援給付金の支給要件をチェックしていきましょう。
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得が472万1000円以下である
上記の支給要件をすべて満たしている人が対象となります。
※所得の計算には遺族年金等の非課税収入を含まず、また基準となる所得は扶養親族等の人数によって異なります。
いずれの年金生活者支援給付金も、「日本国内に住所がないとき」など対象外となる場合があります。詳細は年金事務所や市町村窓口で確認することをすすめします。
4. 「年金があるから老後は安心」とは言い切れない
公的年金の受給額は3年ぶりにプラス改定となった一方で、物価上昇のペースには追随できておらず、実質「目減り」と言えるでしょう。
年金受給額が今後どうなるかは、誰にもわかりません。現役時代のうちから、年金以外の老後資金を早めに準備することが大切です。
老後の生活を豊かにしようとするなら、必要となるお金も大きくなるでしょう。
病気やケガ、また介護など不足の事態に備えるためにも、まとまった老後資産を形成しておきましょう。
5. 年金収入だけでなく資産運用で老後を豊かに
年金生活者支援給付金は、年金やその他の所得が一定以下の場合において要件を満たせば受けることができます。
こうした制度は申請制となるケースもあるため、通知される文書などにはしっかり目を通しましょう。
一方で、ゆとりある老後生活をしていくためには、ご自身で年金以外の老後資金を準備することも大事になってきます。
老後資金の準備として、預貯金をコツコツ貯めることはもちろん大事です。ただし、ゆとりある老後生活をするためには貯蓄では足りないかもしれない。そんな方は、資産運用でお金を増やす仕組みづくりをしていくのもいいかもしれません。
資産運用には元本保証ないものがほとんどです。リスクをとることにより資産を大きく増やすこともできるかもしれません。情報収集をご自身でしっかりと行い、ご自身に合った運用方法を選んでいきましょう。
参考資料
奥田 楓也