2.1 2023年度の国民年金と厚生年金の年金額
- 国民年金(満額):6万6250円(新規裁定者で前年度より+1434円。68歳以上の方は6万6050円)
- 厚生年金はモデル夫婦(2人分の国民年金と厚生年金):22万4482円(前年度より+4889円)※
※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準。
上記を見て分かる通り、令和5年度は67歳以下で国民年金の満額が6万6250円、標準的な夫婦では22万4482円となっています。
増額と聞いて、意外に感じる方もいたのではないでしょうか。
昨今の物価上昇は、みなさんも肌で感じているところかと思います。こうした物価上昇時において、年金額が一定あるいは減少していくと、高齢者の生活はままならなくなります。
ある程度はインフレに対応できるよう、年金額も見直しが行われるのです。
しかし、こうした年金の仕組みを聞いて安心することはできません。
2004年に導入された「マクロ経済スライド」により、公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率が設定されるからです。
賃金と物価の変動がプラスとなる場合、改定率から控除されるため、物価上昇ほどには年金が増加しない(抑えられる)という調整が入るのです。
シニアにとって物価上昇は厳しいものですが、将来世代の年金の給付水準を確保するためには、仕方のない側面もあります。
3. 12月支給の年金「ひとりで30万円」受け取れるのが標準?
前章にて、2023年度の標準的な夫婦は年金を22万4482円受け取れることがわかりました。
「標準的な夫婦の年金22万4482円」の内訳は、夫婦の老齢基礎年金(満額)と夫の厚生年金です。
こちらをもとに、「ひとり分」の年金額を算出します。まずは厚生年金部分を計算しましょう。
22万4482円ー(6万6250円×2人分)=9万1892円
厚生年金部分のみとなると約9万円でした。これが、平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合にもらえる純粋な厚生年金月額ということです。
老齢基礎年金と合わせると、「15万8232円」になります。
12月の支給日には「10月分・11月分」が振り込まれるため、単純計算で31万6464円となるでしょう。
つまり、厚生労働省が提示する「標準的な収入」で40年間勤めてきた人は、12月の年金支給日に約30万円が振り込まれるというわけですね。
「30万円」と聞くとなかなかの高額受給者に思えますが、2カ月分だとすると印象ががらっと変わるものです。
月額が約15万円となれば、賃貸住まいの方などは生活を切り詰めないといけないかもしれませんね。