近年では、誰とも同居しない「おひとりさま世帯」が増えつつあります。

実際に、厚生労働省の「令和5年版厚生労働白書」によると、男女ともに生涯結婚をしない選択をする人が増加しており、50歳代の未婚率は1980年と2020年で下記のように変化しています。

  • 1980年の50歳代未婚率:男性2.1%、女性4.5%
  • 2020年の50歳代未婚率:男性26.6%、女性16.5%

このように「おひとりさま」として老後を迎えようとしている人が多くなっていますが、老後生活の蓄えに不安を感じている人も少なくないでしょう。

そこで本記事では「おひとりさま」が知っておきたい、老後の年金について詳しく解説していきます。

「老後は年金だけで生活していけるのか」といった疑問についても解説しているので、豊かな老後生活を送るための参考にしてください。

1. おひとりさまシニアが知っておきたい「老後の収入」はいくら?

定年退職をして老後生活を迎えた際に、大きな収入源となる「老齢年金」ですが、果たして月にどのくらいの年金を受給できるのでしょうか。

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の公表データを参考に、現在の国民年金と厚生年金の平均受給額を見ていきましょう。

1.1 国民年金の平均月額は「5万6368円」

国民年金は、原則日本に住む20歳から60歳未満の方が加入するもので、保険料は一律となっています。

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均月額は「5万6368円」となっており、受給割合は下記のとおりです。

男性の平均受給額は「5万9013円」、女性の平均受給額は「5万4346円」となっています。

年金月額のボリュームゾーンは6万円から7万円未満となっており、男女ともに受給額に大きな差が生じていません。

国民年金は、加入期間と納付月数が同じ場合は同じ額が支給され、仮に40年間保険料を納付した場合は、国民年金は満額受け取れる仕組みであることから、年金月額にバラつきがあまり生じていないのでしょう。