2. 業績は安定も新材料に乏しく横ばいか

6月以降の日経平均と2社の値動きを見ると次の通りで、市場と連動する形で上昇が止まり、その後はレンジ内での推移となっています。

日経平均および中外製薬・大塚HDの株価推移(単位:円)2022年12月30日~2023年10月3日

出所:各種資料をもとに筆者作成

両社の業績でいうと、大塚HDの第2四半期決算は売上収益が前年同期比+16.4%、中外製薬も売上で同+14.8%など好調さを維持していました。

しかし、前四半期ですでに業績好調であることは市場に認知されていた中で、さらに株価を引き上げるほどの好決算とはいえなかったと考えられます。

日経平均の上昇が抑制された背景には指数に組み入れられている各社の要因等もあるため、一つだけに絞ることは困難です。一方で、市場全体に影響を及ぼしたトピックとしては、日銀の金融政策の修正や経済見通しなどが考えられるでしょう。

7月27日・28日に実施された日銀政策決定会合にて、日銀は金融政策の修正と経済見通しのアップデートを行いました。

金融政策では、10年金利の上限の許容値をそれまでの0.5%から1.0%に拡大する政策を発表しています。この金融政策の修正は金利の上昇要因となるでしょう。

また、日本銀行「経済・物価情勢の展望2023年7月」によれば、2023年度の物価見通しを引き上げています。

金利の上昇や行き過ぎたインフレの加速は、基本的に経済成長において逆風要因です。

そのため、以上のような日本銀行のスタンスは、日本の株価市場全体の上値を抑える一因となったと考えられます。