2023年10月25日、株式会社KOKUSAI ELECTRIC(6525、以下「同社」という)は、東証プライムに新規株式公開(IPO)した。
2022年からIPO件数が減少しているなかで、同社のIPOにおける資金吸収額は1082億6560万円となった。
これは、2018年12月にIPOしたソフトバンク株式会社(東証プライム、9434)以来の規模となる(著者注:ソフトバンクの資金吸収額は2兆6460億9465万円と過去最大であった)。
KOKUSAI ELECTRICのIPO
同社は、株式会社日立製作所の子会社であった株式会社日立国際電気(旧・国際電気株式会社)における成膜プロセスソリューション事業が前身となる。
KOKUSAI ELECTRIC設立にいたる過程
2017年に投資ファンドのKohlberg Kravis Roberts & Co. L.P.(KKR)によって、特別目的会社「HKEホールディングス株式会社(設立時は合同会社)」として設立された。
なお、KKRは、TOBを成立させ、日立国際電気は2018年に東証一部の上場を廃止している。
HKEホールディングス株式会社は、2018年6月に、日立国際電気の成膜プロセスソリューション事業を会社分割により承継し、商号(会社名)を現在の「株式会社KOKUSAI ELECTRIC」へ変更した。
KOKUSAI ELECTRIC上場にいたる過程
同社の2023年3月期の売上収益は、2019年9月期比で約2倍となっており、成長途上にある。
今後のさらなる成長を見据えた企業価値の向上に向けた取り組みを行うなかで、単独事業として再上場も視野に入れながらも、新たな事業戦略パートナーとしてApplied Materials, Inc.との事業統合に向けた準備をしていた。
そして、2019年にApplied Materials, Inc.(NASDAQ、AMAT、アプライド マテリアルズ)に、KKRの全保有株式を譲渡することで、3社間の合意に至った。
しかしながら、関係国の競争法当局の承認が得られず、2021年3月に上記契約は解除となった。
そのため、半導体製造装置市場は2027年に向けてさらなる拡大が期待されていること等を踏まえて、同社独自に戦略的な事業拡大を進める決意をした。
そのためにも、先端分野において積極的な先行開発投資は絶対条件であり、この事業拡大成長の環境を整えるためには、再上場が必要不可避であるとの考えに至った。