日本人の平均寿命が伸びており「人生100年時代」が身近に感じられるこの頃です。厚生労働省が公開した最新版「令和4年簡易生命表の概況」によると、男性の平均余命は81.05歳、女性は87.09歳になりました。

長生きは嬉しいですが、「老後の生活費はいくらかかるの?」「老後資金の準備というけど、いくら貯める必要があるの?」など、長い老後を過ごすためのお金のコトが心配という方は多いかもしれません。

今回は、もし100歳まで生きる場合、必要な蓄えはどのくらいなのかをざっくり計算して、そのうち年金でどのくらい準備できるのかみてみましょう。

夫婦orひとりで100歳まで生きる場合に必要な貯蓄額はいくら?

まずは、総務省「家計調査年報(家計収支編)2022年」のデータを元に、100歳まで生きるとしたらどのくらいの貯蓄を必要とするか試算してみましょう。

65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の支出額はいくら?

「65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 2022年」によれば、平均的な毎月の支出は次のとおりです。

  • 平均的な消費支出:23万6696円
  • 平均的な非消費支出:3万1812円

平均支出の合計額は26万8520円となり、年間にすると約320万円となります。

もし、年金に頼らず65歳から100歳まで過ごすとすれば、必要となる老後資金は以下のとおりです。

「夫婦で100歳まで生きる」ために必要な老後資金の早見表

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出所:筆者計算・LIMO編集部作成

出所:筆者計算・LIMO編集部作成

  • 65~70歳:約1600万円
  • 65~75歳:約3200万円
  • 65~80歳:約4800万円
  • 65~85歳:約6400万円
  • 65~90歳:約8000万円
  • 65~95歳:約9600万円
  • 65~100歳:約1億1200万円

次は、ひとり暮らしの場合をみてみましょう。

65歳以上のおひとりさま無職世帯(高齢単身無職世帯)の支出はいくら?

「65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 2022年」によれば、平均的な毎月の支出は次のとおりです。

  • 平均的な消費支出:14万3139円
  • 平均的な非消費支出:1万2356円

平均支出の合計額は、15万5495円となり、年間では約190万円が必要になります。

もし、年金に頼らず65歳から100歳まで過ごす場合の必要な老後資金は以下のとおりです。

「単身で100歳まで生きる」ために必要な老後資金の早見表

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出所:筆者計算・LIMO編集部作成

出所:筆者計算・LIMO編集部作成

  • 65~70歳:約950万円
  • 65~75歳:約1900万円
  • 65~80歳:約2850万円
  • 65~85歳:約3800万円
  • 65~90歳:約4750万円
  • 65~95歳:約5700万円
  • 65~100歳:約6650万円

これより、65歳以上の夫婦のみの世帯が、1年間の生活費約320万円で100歳まで生きる場合に必要となる老後資金は約1億1200万円です。

一方、65歳以上のおひとりさまが、1年間の生活費約190万円で100歳まで生きるのであれば、必要な老後資金は約6650万円が必要です。

なお、今回参考にした家計調査の注意点としては、対象になっているのが持ち家世帯ということもあり、家賃の割合は低くなっています。

もし賃貸にお住いの方であれば、上記よりもさらに多くの老後資金が必要となるでしょう。

しかし、実際のところ、私たちは老後に向けて、国民年金に加入したり厚生年金に加入したりしています。

人によって多い・少ないはありますが、公的年金を受け取ることができます。

そのため、必ずしも上述の金額をすべて65歳までに準備する必要はありません。

実際、65歳以上になったらもらう公的年金の平均年金月額はいくらなのでしょうか。

65歳以上になったらもらう公的年金の平均年金月額はいくら?

国から支払われる老齢年金には、個人事業主などが加入している「国民年金」と、公務員や会社員が加入する「厚生年金」があります。

厚生労働省の「2021(令和3)年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、65歳以上から受け取る年金の平均年金月額は次のとおりです。

  • 厚生年金保険加入者の平均年金月額:14万3965円(基礎年金含む)
  • 国民年金保険加入者の平均年金月額:5万6368円

仮に、それぞれの年金を65歳~100歳までもらうことになれば、

  • 厚生年金保険加入者:(14万3965円×12か月)×35年=6046万円
  • 国民年金保険加入者:(5万6368円×12か月)×35年=2367万円

上記の金額が年金収入として準備できます。

「夫婦で100歳まで生きる」とき不足する老後資金

夫婦世帯のうち、もし夫が厚生年金を約6000万円受け取り、妻が国民年金を約2300万円受け取れば、合計8300万円が年金で準備できます。

前述した、65歳以上の夫婦のみ無職世帯が100歳まで過ごすために必要な金額の約1億1200万円に対して約2900万円が不足します。

しかし、夫婦共働き世帯で、それぞれが約6000万円の年金を受け取るとすれば、合計約1億2000万円となり、100歳までに必要な約1億1200万円は年金で賄える計算になります。

「単身で100歳まで生きる」とき不足する老後資金

おひとりさまが、会社員や公務員であれば、厚生年金で約6000万円が準備できます。

前述した、65歳以上の単身無職世帯が100歳まで過ごすために必要な金額の約6650万円に対して約650万円が不足となります。

しかし、おひとりさま世帯が個人事業主であれば、国民年金の約2300万円しか準備できないことになります。

100歳までに必要な約6650万円に対して、約4350万円が不足することになります。

このように、65歳以降の老後資金の準備を考える際は、まずは自分がもらえる年金を把握して、それに対してどのくらい不足するのか算出することが大切です。

不足額をカバーするには、iDeCoや個人年金などの私的年金で準備する、できるだけ長く働き収入を得るなどの方法があります。

老後資金の準備は早めに着手

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takayuki/shutterstock.com

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長い老後には、夫婦で約1億円、ひとり暮らしであれば約6000万円と大きなお金が必要になります。

しかし、公的年金に加入していれば、その内の大部分を年金で準備することができます。

若いうちは、給料から毎月厚生年金が天引きされて「もっと少なくなればいいのに…」と思うことがあるかもしれませんが、老後の生活を迎えるころになれば「掛けていてよかった!」と思うことでしょう。

しかし、長く生きることになれば、生活費以外に、余暇を楽しむお金、介護費用、住居の修繕費など、さまざまな費用が発生します。

それらを考えれば、老後資金の準備は早めに着手することが大切です。

参考資料

舟本 美子