「老後2000万円問題」が話題となり4年が経ちましたが、老後生活に対する不安は高まったままです。
一方で、「本当に2000万円も必要なのか?」「実際に貯蓄2000万円の人はどれくらいいるの?」などの疑問を感じる人もいるでしょう。
物価高が進む中、燃料油価格激変緩和措置の期間が2023年12月末まで延長されることも決まりましたが、家計はまだまだ厳しいという方も多いでしょう。
本記事では、60歳代で貯蓄2000万円以上の人がどれくらいいるかについて解説します。
老後2000万円もいらない人の特徴も紹介しますので、自身の状況にあてはめて老後計画を検討してみましょう。
60歳代で「貯蓄2000万円以上」は27.4%
金融公庫中央委員会の「令和4年(2022年)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]」によると、60歳代で「貯蓄2000万円以上」の世帯は、60歳代世帯の27.4%です。
また、60歳代世帯の平均貯蓄額は1689万円、中央値(※)は552万円となっています。
※貯蓄額の多い順に並べたときにちょうど真ん中にくる人の貯蓄額のことです。
単身世帯と2人以上世帯を比較してみると下記の一覧表の通りです。
単身世帯と2人以上世帯を比較してみると上記の一覧表の通りです。
老後2000万円が必要と言われる理由
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老後2000万円問題が話題となったのは、2019年6月3日の金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」がきっかけです。
具体的には、同報告書の次の記載により2000万円という金額がクローズアップされました。
- 高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる
- 不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の取崩しが必要になる
つまり、2000万円という金額は、高齢夫婦無職世帯の平均的な家計収支より月5万円の赤字が発生し、老後生活が30年間続くという前提で試算された数字なのです。
家計収支は世帯ごとに異なるため、この前提は誰にでも当てはまるわけではありません。
老後2000万円もいらない人の特徴4選
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前述の通り、老後2000万円が必要なのは家計収支が毎月5万円赤字の世帯であり、赤字額が少なければ(または黒字ならば)、貯蓄は2000万円も必要ないといえます。
老後2000万円もいらない人の特徴を4つ紹介します。
1. 年金額が多い
2000万円必要なモデル世帯は毎月の収入が約21万円、支出が約26万円で、収入の大半が年金です。
夫婦で受け取る年金額が多ければ家計収支の赤字が減り(または黒字になり)、2000万円もの貯蓄は必要なくなります。
厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金と厚生年金の受給権者の平均年金月額は次の通りです。
- 国民年金(老齢基礎年金のみ):5万6368円
- 厚生年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金):14万3965円
夫婦の一方が高収入で長期間厚生年金に加入して月20万円以上の年金を受給している世帯や、共働きで夫婦とも一定額の年金を受給している世帯では年金だけで生活も可能です。
2. 年金以外の収入がある
老後の収入は年金だけとは限りません。
次に該当する人などは、家計収支の赤字を解消するだけでなく年金なしでも生活できるかもしれません。
- 定年後も継続雇用などで仕事をしてる人
- 自営業者
- 不動産収入がある人 など
また、モデル世帯のように年金だけでは月5万円の赤字の場合、アルバイトやパートなどで5万円稼げば赤字は解消します。
短時間の仕事や体力的または精神的に負担の少ない仕事でも、月5万円なら可能です。
3. 子どもに世話をしてもらえる人
子どもと同居しているなど、生活費の多くを子どもが負担してもらえる場合、支出が減ってあまりお金を貯めていなくても生活できます。
持ち家に同居すれば子どもにとっても住宅費の負担が軽減したり、孫の世話をしてもらえたりするなどのメリットもあります。
4. 相続財産を受けられる人
現在の貯蓄が少なくても、親からの相続で老後資金を賄えるケースもあります。
親が特別な資産家でなくても、高齢になるほど消費支出は減り万一に備えて貯蓄を取り崩さない傾向にあるため、数千万単位の資産を持っている可能性もあります。
また、自宅を含めて不動産を所有していればまとまったお金を相続できるかもしれません。
老後2000万円問題より自分の老後を考える
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60歳代で「貯蓄2000万円以上」の世帯の割合は、60歳代世帯の27.4%です。
2000万円も貯めるのは難しいと感じる人も多いでしょうが、2000万円という数字はモデルケースでの必要額であり、実際にはそれぞれの状況によって必要額は異なります。
貯蓄と年金だけで生活するのは無理な場合、不足分を補うための収入を得ることを検討してみましょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」
- 金融庁「金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」」
- 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 経済産業省資源エネルギー庁「燃料油価格激変緩和補助金」
西岡 秀泰