2023年10月4日に厚生労働省が発表した「生活保護の被保険者調査」によると、2023年7月に生活保護を申請した件数は、前年同月比で+2.8%となりました。
実際に保護開始となった世帯数も+2.4%です。新型コロナウイルスや物価高によって生活が苦しく、生活保護の利用を検討している人が多くなっているといえるでしょう。
生活保護には、冬の間だけ増額して生活保護費を支給する「冬季加算」制度があります。
今回は、冬季加算の金額や受給できる期間について解説します。
生活保護費の決まり方
生活保護は、病気や年齢を理由に働けず努力しても生活ができない場合に、最低限の暮らしに必要なお金や医療などを給付する制度です。
生活保護として支給する生活保護費は、厚生労働大臣が定める基準で計算した最低生活費と収入を比べて、収入が最低生活費に満たない場合に支給されます。
生活保護費は、住んでいる地域や世帯の人数、物価状況を反映した「級地」をもとに計算します。
【生活保護】級地ごとの最低生活費
一般的なモデルケース別にみる級地ごとの最低生活費は、以下の一覧表の通りです。
では、冬の間だけ支給される冬季加算について、金額や支給時期を確認しましょう。
生活保護の冬季加算とは
冬季加算は、冬場の寒さをしのぐための「暖房費」として支給されます。
基本的に、生活扶助費として支給され、全国の生活受給者が受け取れる制度です。
ただし、地域によって冬季加算額は異なり、基本的に寒い地域ほど加算される金額は高いです。
どのような要件で冬季加算額が決められるのか確認しましょう。
冬季加算される額はいくら?
冬季加算は、次の項目によって金額を区分しています。
- 冬季加算する地域の区分
- 地域の級地
- 世帯人数
冬季加算の地域区分は、6段階に分かれます。
上記の区分に加えて、地域の級地と世帯人員で支給額を決めます。
世帯人員が5人目までの冬季加算額は、以下の通りです。
世帯人員が6人から10人以上の加算額は、次の通りです。
10人以上の場合は、1人ずつ増えるごとに加算されていきます。
現行制度では、級地の違いで加算額は変わりませんでした。
また、冬季加算には一定の条件を満たす世帯人員がいる場合に、特別基準額を支給します。
特別基準は、次の通りです。
- 世帯人員に病気や障害で療養のために外出が困難で常時在宅が必要な場合
- 世帯人員に乳児がいる場合
- 医師の診断で療養のために外出が困難で常時在宅が必要な場合
特別基準額は、通常の1.3倍が加算されます。
冬季加算が支給される時期は?
6/6
Princess_Anmitsu/shutterstock.com
冬季加算は、区分によって支給時期が異なります。
一般的に、各区分における支給時期は、以下の通りです。
- 1区:10月から4月
- 2区:10月から4月
- 3区:11月から4月
- 4区:11月から4月
- 5区:11月から3月
- 6区:11月から3月
1区と2区に限り、10月から4月までの7ヵ月にわたって冬季加算を支給します。
冬季加算によって、冬の間は通常の生活保護費にプラスして支給されるということです。
生活保護の基準は、原則として5年に1度見直されますが、直近では2023年10月に生活保護費の基準額を見直しました。
今回の見直しによって、冬季加算の金額に影響は生じたのでしょうか。
2023年10月に行われた生活保護の見直しについても確認しましょう。
10月から保護基準の見直しで冬季加算に影響は?
10月に見直された内容は、以下の2点です。
- 世帯人員1人あたり月1000円の増額
- 2年間は基準額を据え置き
今回の見直しによって、最大で約11%の引き上げとなりました。
一例をあげると、以下の通りです。
- 40歳代夫婦と子ども2人:都市部18万1000円(1.5%増)、地方15万7000円(11.1%増)
- 30歳代夫婦と子ども1人:都市部15万3000円(4.2%増)、地方13万4000円(4.9%増)
そのため、冬季加算額にも影響はありません。
生活保護を申請する場合は、以下の方法で自治体の窓口で手続きを行います。
- 相談:自治体の福祉事務所で相談
- 申請:自治体の福祉事務所で申請
- 調査:訪問調査や資産調査を行い、支給額を審査
- 決定:14日以内に調査結果を通知
生活保護の受給がスタートしたら、その後は収入状況を毎月申告し、ケースワーカーによる訪問調査や生活指導が必要になります。
生活保護の申請は国民の権利
生活保護における冬季加算について解説しました。
生活保護は、病気や年齢を理由に生活ができなくても、最低限の生活をするための公的制度です。
その中の冬季加算は、寒い地域だけでなく全国的に加算される制度で、暖房代として支給されます。
区分によって支給時期が異なりますが、支給時期は5ヵ月から7ヵ月です。
生活保護を受けた場合の受給額が知りたい人は、まず自治体の福祉事務所へ相談してください。
参考資料
- 厚生労働省「生活保護法による保護の基準」
- 厚生労働省「2023年4月1日施行 生活保護実施要領等」
- 厚生労働省「生活保護制度の概要等について」
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和5年7月分概数)の結果を公表します」
川辺 拓也