2.2 加給年金の特別加算
老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額に3万3800円から16万8800円が特別加算されます。
これにより、加給年金の金額は最大で年額39万7500円にものぼります(夫婦のみの場合)。
厚生年金の金額は個々によって異なりますが、十分な金額がもらえないという方もいます。こうした方は、配偶者や子どもが要件を満たす場合、約40万円が上乗せされるケースもあると知っておきましょう。
加給年金は、配偶者が65歳になるまで受け取れます。
5歳差なら5年分、10歳差なら10年分が受け取れることになるため、年の差が大きいほどメリットがあると感じるかもしれません。
3. 加給年金の注意点
ただし、加給年金にも注意したい点があります。
厚生年金加入者が対象者になるということから、配偶者はそれまで第3号被保険者として扶養に入っていた可能性が高いでしょう。
会社員の夫と専業主婦のケースで考えてみましょう。夫が65歳になると、妻は扶養から外れることになります。これにより、妻も60歳になるまでは第1号被保険者として、年金保険料の支払いが発生するのです。
これまで負担がなかったことを考えると、月額約1万6000円の支払いは負担に感じてしまうかもしれませんね。
こちらは年の差が大きいほど、保険料負担が高くなるという構図になってしまいます。
年齢差が大きいほどお得に思える加給年金ですが、5歳以上離れているとこうした年金保険料の発生についても考えておかなければなりません。
また、繰下げ受給を選択する場合は加給年金が受け取れないという点も知っておきましょう。
執筆者
日本大学国際関係学部卒業後、東洋証券株式会社に入社。国内外株式、債券、投資信託、保険商品の販売を通じ、主に個人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事する。特に中国株・投資信託の提案を得意とし、自身でも幅広く投資を行ってきたため、豊富な金融知識を活かした顧客ニーズに沿う提案が強み。現在は個人向け資産運用のサポート業務を行う。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP3級)、一種外務員資格(証券外務員一種)を保有(2023年11月27日更新)。
監修者
株式会社ナビゲータープラットフォーム メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
京都教育大学卒業。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部で、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
はたらく世代のお金の診断・相談サービスを行うマネイロでは、「【計算例付】厚生年金保険料はどのように決まる?ケース別算出方法や受給額を解説」など、お金や年金制度にまつわる記事を発信中。京都府出身。(2024年3月18日更新)