3.1 厚生年金や国民年金の受給額を上げる
厚生年金と国民年金について、それぞれ受給額を上げるための対策をとりましょう。
厚生年金
厚生年金は、現役時代の年収や厚生年金加入期間などによって年金額が決まるため、以下のような対策をとることで年金額を増やせる可能性があります。
- 厚生年金未加入の場合は、加入できる条件を満たした勤務形態にする
- 転職やスキルアップなどすることで収入を増やす
- 加入期間を長くする(70歳まで加入可能)
パートやアルバイトなどでも、勤務時間や日数が一定数以上であれば社会保険への加入対象者となります。
また、年収が高くなればそれだけ厚生年金も増えるため、より条件の良い職に転職したり資格を取ったりして収入アップを目指すのも良いでしょう。
さらに、厚生年金には70歳まで加入可能なので、老後も働き続けることで加入期間を長くし年金額を増やすのも選択肢のひとつとなります。
国民年金
国民年金は、保険料の納付月数のみで年金額が決まるため、もし未納分があれば追納して納付済月数を増やしましょう。
ただし、追納ができるのは、追納が承認された月の前10年以内のものに限られていることに注意してください。
また、国民年金ならではの制度として、「付加保険料」や「国民年金基金」があります。いずれも、通常の保険料に保険料や掛け金を上乗せして納付することで、将来の年金額を増やせる制度です(ただし併用は不可)。
3.2 年金の「繰下げ受給」をする
厚生年金や国民年金の「繰下げ受給」をすることで、受給額を増やすことが可能です。
年金は、原則として65歳からが受給開始となりますが、申請することで66歳から75歳までの間に繰下げることができます。
1ヵ月繰下げるごとに0.7%が増額され、10年間繰下げた場合、最大で84%も増額することが可能です。なお、増額された年金額は一生涯変わりません。
ただし、繰下げることで生活費が不足する場合があることや、寿命によっては生涯で受給できる年金額が原則通り受給開始した場合よりも少なくなる可能性があります。
繰下げ受給をする際は、メリットだけでなくデメリットについても理解することが大切です。
3.3 生活費を見直す
年金額を増やす対策をとる一方で、生活費を見直すことも忘れずに行いましょう。
収入を増やすことは簡単なことではありませんが、支出を減らすことは今日から取り掛かることができます。
たとえば、電気代やガス代などを安いプランに変更する、加入している保険の見直しをしてむだな保険料を支払っていないか確認するなど、思いつくものから試してみましょう。
4. 老後資金のまとめ
「老後に2000万円が不足する」と聞くと、老後の生活費に大きな不安を感じてしまいます。
しかし、この金額が計算されたのはある特定のモデルケースであり、実際は各世帯によって年金受給額や生活費などが異なるため、一概に言えるものではありません。
とはいえ、今後年金受給額が減額される可能性があることや、まとまった出費がある可能性も考えられることから、できるだけ老後資金を準備しておくことが大切です。
この記事で解説したような、年金を増やす方法に取り組んだり生活費の見直しを行ったりして、老後資金の準備に取り組みましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
木内 菜穂子