施設入所のきっかけトップは「病気や認知症の悪化」

介護施設への入所を検討し始めたきっかけ(複数回答可)

  • 病気や認知症が悪化した:42.4%
  • 在宅介護に限界を迎えた:37.2%
  • 自宅で転倒するなど、怪我をしてしまった:22.8%
  • 病院・リハビリ病院から退院後の在宅復帰:18.0%
  • 遠距離介護が困難だった:12.4%
  • 親族や知り合いに勧められた:9.6%
  • 本人の希望:8.8%
  • 家の住み替えのタイミング:0.8%
  • その他:1.6%

在宅介護から施設介護への切り替えは、介護生活の中で最もインパクトの強いステップです。経済的な負担が生じるだけではなく、心理的な葛藤が出てくる人も少なくないでしょう。

同アンケート結果では、介護施設への入居を検討し始めたきっかけとして「病気や認知症が悪化した(42.4%)」「在宅介護に限界を迎えた(37.2%)」「自宅で転倒するなど、怪我をしてしまった(22.8%)」などが上位回答に挙がっています。

ちなみに「親族や知り合いに勧められた」は9.6%、「本人の希望」は8.8%と低めです。病気や認知症、怪我といった健康上の理由から、在宅での介護に限界を感じて施設入所に踏み切るケースが多い様子がうかがえます。

【親の介護】親族が揉めないために、事前にできることとは?

今回紹介した「親の介護に関する調査」の結果では、親の介護を経験した人の40.8%が親族との揉め事を経験していることが分かりました。

その背景には、一方的な介護の押し付けや、介護費用の負担、さらには施設入所への反対意見などが、揉め事の原因として挙げられています。

介護に必要となる費用は、自宅介護か施設介護か、さらには入所した施設によっても大きく差が出ます。

生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」によると、平均的な介護期間は約5年ですが、これも個人差があるでしょう。

ちなみに内閣府の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」によると、6割以上のシニア世代が将来介護が必要となったら自分の資産から捻出するつもりだと回答しています。

しかし、「要介護」は思いのほか突然やってくることも。さらに認知症により判断能力が低下した場合は、自分の資産を介護費用に活用することが難しくなる可能性は高くなります。

介護の形はさまざまですが、主たる「介護者である家族(主に子ども)」と、「介護される本人やその同年代の親族」とでは、理想が食い違うことも多いでしょう。

さらにいうと「実現可能な介護」は、健康状態や資産の状況に大きく左右されます。

元気なうちに家族・親族が心地よい距離を保ちながら、そう近くはない将来に訪れる「介護」への目線合わせをして備えておくことができれば、幸せなのかもしれません。

参考資料

吉沢 良子