3. 在職老齢年金で損をしないための働き方とは
前章でもお伝えしたように、賃金の年金額の合計額が48万円を超える場合は、一部減額または全額支給停止となります。
定年退職後も働き続ける「はたらくシニア」が増え続けている現代では、上記の基準額を超えてしまう人も多くいるでしょう。
「働きながら厚生年金も全額受け取りたい」という場合は、合計額が48万円以下になるように年金額から逆算をして賃金の調整をしましょう。
上記以外に、在職老齢年金で損をしないための働き方として、「社会保険に加入せず」に働くことが挙げられます。
在職老齢年金は「厚生年金」に加入しながら働き、厚生年金を受け取る人が対象となるため、社会保険に加入をしない形で働けば、収入が基準を超えても適用外となります。
たとえば、個人事業主や業務委託、加入義務のないパートとして働くなどが、社会保険に加入しない選択肢として挙げられます。
デメリットとしては、厚生年金の加入期間が長いほど、この先の長い老後に受け取れる年金月額は増額されるため、「老後の年金額も多くしたい」という場合は慎重に検討する必要があるでしょう。
4. 「働く以外」の老後の備えもしておこう
本記事では、働きながら年金を受け取る「在職老齢年金」で損をしないための、仕組みや意識したいポイントなどを解説していきました。
はたらくシニアが増加傾向にある現代では、「在職老齢年金制度」を利用しながら働いている人が多く、今後さらに増えることが予想されます。
とはいえ、シニア世代は現役の時とは異なり、突然の病気や怪我などで働き続けることが困難になる可能性があるため、働く以外の老後の備えも事前にしておけると安心です。
老後の収入源として年金以外に、老後資金の貯蓄や保険などを事前に備えておくことで、「老後に働かない選択肢」も自由に決定することができるでしょう。
「在職老齢年金制度」を理解したうえで、来たる時にどのような選択もできるように、準備をしておくことが、ゆとりのある老後を過ごすための適切な準備といえます。
参考資料
- 総務省「統計からみた我が国の高齢者」
- 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」
- 日本年金機構「さ行 在職老齢年金」
- 日本年金機構「令和4年4月から65歳未満の方の在職老齢年金制度が見直されました」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
太田 彩子