生活保護を受けるための要件
生活保護は世帯全員が、持っている資産、能力、親族による援助などのあらゆるものを、まず、生活維持のために活用することが前提となります。
そのため、もし、生活保護を申請したときは、以下のような状態かどうかの調査が行われます。
- 不動産、自動車、預貯金等のうち、ただちに活用できる資産がない。
- 就労できない、又は就労していても必要な生活費を得られない。
- 年金、手当等の社会保障給付の活用をしても必要な生活費を得られない。
- 頼れる親族がいない。
たとえば、自動車は資産となるので、生活費を捻出するために原則処分することになります。
しかし、障害をお持ちの方の通勤、通院等に必要な場合等は、例外的に自動車の保有を認められることがあります。
このような状況で、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、生活保護を受けることになります。
生活保護で受けられる給付
生活保護制度で受けられる給付は、生活をしていく上で必要となる8つの扶助があります。
- ①生活扶助:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱水費等)
- ②住宅扶助:アパート等の家賃
- ③教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
- ④医療扶助:医療サービスの費用(費用は直接医療機関へ支払)
- ⑤介護扶助:介護サービスの費用(費用は直接介護事業者へ支払)
- ⑥出産扶助:出産費用
- ⑦生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
- ⑧葬祭扶助:定められた範囲内で実費を支給
このうち生活扶助の基準額は、2023年10月から「世帯人員一人当たり月額1000円」加算されます。
ただし、当該加算を行ってもなお現行基準額から減額となる世帯については、現行の基準額のまま据え置かれます。
個々の状況で変動する「生活扶助」の基準は最低生活費
生活扶助は、生活保護の扶助の中でも、生活に関わるものです。
含まれるもので主なものは、以下のものがあります。
- 第1類費:食費や被服費など個人単位でかかる経費を補てんするもので、年齢別に設定します。
- 第2類費:水道光熱費や家具什器費などを補てんするもので、世帯人別に設定します。
- 冬季加算:冬季において増加する暖房費等の経費を補填するもので、世帯人員別、地区別に設定します。
- 期末一時扶助:年末において増加する食費や雑費等の経費を補填するものとして支給するもので、世帯人員別に設定します。
さらに、世帯員に障害者、介護が必要な人、病気の人、母子家庭などのような個別の事情があれば、別途、加算が受けられます。
支給対象となる人の年齢や居住地、個々の状況などによって変動するため、金額の計算は簡単ではありません。
厚生労働省では以下のような例示が発表されています。
一般的なケースとして確認しておきましょう。