4. 年金からも天引きされる?生活に使える費用と実際の生活費はいくらか
前章では、おひとりさま男性が老後に受け取れる「厚生年金」と「国民年金」の平均月額を紹介しましたが、額面通りの金額が全て受け取れるわけではありません。
日本の公的年金は、「税金」や「社会保険料」が天引きされた後に、年金受給者に振り込まれるため、実際の手取り額は額面よりも少なくなるケースが多いです。
厚生年金・国民年金から天引きされるお金は、下記4種類となっています。
- 所得税と復興特別所得税
- 個人住民税
- 介護保険料額
- 後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)
年金から天引きされるお金については、各自治体で詳細に掲載しているところもあるため、気になる方はお住まいの自治体のホームページを確認してみましょう。
では、年金から上記の税金や社会保険料がどのくらい天引きされ、実際に生活費として使える費用及び不足分はどのくらいになるのでしょうか。
総務省の「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯の家計収支は下記のようになっています。
年金が約12万円支給されていますが、そこから約1万2000円が税金・社会保険料として天引きされていることがわかります。
また、老後の平均消費支出は「14万3139円」となっており、約2万円の不足分が生じています。
仮に老後生活を65歳から90歳までとした場合、「2万円×12ヶ月×25年」となり、トータルで少なくとも600万円は不足することになります。
さらに、上記の不足分に加えて病気や怪我、介護費用、家の修繕費などといった、突発的な支出も考えられるため、年金以外の備えも必要になってくるでしょう。
5. 自身の年金受給額を把握し、事前の老後の備えをしておこう
本記事では、「おひとりさま男性」に絞り、シニア世代の年金事情及び老後の生活費について紹介していきました。
おひとりさま男性の場合、老後に受け取れる年金受給額の平均は、厚生年金で「16万3380円」、国民年金で「5万9013円」となりました。
上記からは「税金」「社会保険料」が天引きされるため、実際に受け取れる金額はさらに少ないでしょう。
65歳以上の単身世帯の平均消費支出は「14万3139円」となっていることから、年金だけではやや心もとなく、人によっては赤字となるケースも大いにありえます。
おひとりさま男性が、老後生活をゆとりをもって暮らすためには、まず自分の年金受給額を「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で把握し、想定される不足金額を事前に貯蓄しておくことが大切です。
老後資金の準備は、早ければ早いほど余裕を持って対策がしやすくなるため、今からできることから行動していきましょう。
参考資料
太田 彩子