老後生活を考える上で、当たり前にあると考えがちな公的年金制度ですが、かつて制度自体が存在しなかった時代があることをご存じでしょうか。

日本の公的年金制度は、1942年に創設された労働者年金保険制度にさかのぼります。

終戦、戦後の混乱と復興、高度経済成長、その後の低成長時代、そして高齢化と人口減少などの中で、さまざまな制度改正が加えられ、今に至っています。

歴史を俯瞰してみると、そもそも公的年金制度が存在しなかった時代があるということが分かりますし、いまある制度がずっと変わらず続いていくものでもないということにも気づけます。

実際、年金額は将来にわたって固定されているものではありません。制度には物価水準にあわせて年金額を調整するという仕組みも組み込まれています。

世界的な物価上昇が日本にも及んだ影響で、今年度の年金額は増えました。

そこで今回は今のシニア世代の平均年金受給額を見ていきながら、ご自身の将来の受給額について思いを巡らせてみましょう。

1. 国民年金と厚生年金の仕組みをおさらい

最初に、公的年金「国民年金」と「厚生年金」の仕組みをおさらいしておきます。

1.1 国民年金(基礎年金)

  • 原則、日本に住む20歳~60歳未満の全ての人が加入対象
  • 保険料は全員一律(2023年度は月額1万6520円 年度ごとに見直しあり)
  • 老齢年金は、40年間(480ヶ月)全ての保険料を納めれば満額が支給される

1.2 厚生年金

  • 特定適用事業所に働き一定要件を満たした方人が国民年金に上乗せで加入(主に会社員や公務員など)
  • 保険料は厚生年金保険加入期間中の報酬により決定
  • 老齢年金は保険料と年金加入期間により決定し国民年金に上乗せで支給される

現役時代に国民年金・厚生年金のどちらに加入するかによって、老齢年金の受給額が大きく異なります。