市場に並ぶトマトもそろそろ種類が減ってきて、代わりにブロッコリーやかぼちゃが並ぶようになりました。バールの常連さんたちの間でも、「昨晩はパジャマを長袖にしたよ」なんておしゃべりが聞こえてくることも。

イタリアの全土にあるバールは、日本のコンビニくらいに身近な存在。バールの主人や顔なじみのお客さんと、ほぼ毎日顔を合わせてはコーヒーを飲み、雑談に興じます。

その一方でイタリアの観光名所にもなっているのが格式のある老舗カフェ。もしこちらでコーヒーをゆったりと楽しむ場合はどのぐらいの金額になるのでしょうか。今回はイタリアの老舗のバール事情を解説します。

18世紀から大盛況!ヨーロッパのカフェ文化

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Gnac49/shutterstock.com

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ヨーロッパで最初にコーヒーというものを飲んだのは、オーストリア人であったといわれています。

しかし苦みのあるコーヒーを最初に愛したヨーロッパ人は、イタリア人でした。ある歴史家によると、イタリア人はことのほか「苦味」を愛する民族であり、コーヒーはその代表格だ、というわけです。

コーヒーを飲むいわゆる「カフェ」の創業も、イタリアが最初といわれています。18世紀に入ると、イタリアに続いてフランスやイギリスにもカフェ文化が普及していきました。当時のカフェは、インテリたちが集う社交の場でした。

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Petr Kovalenkov/shutterstock.com

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ちなみに、現在パリにあるカフェの老舗「ル・プロコップ」は、創業者がシチリア出身のイタリア人。シチリア生まれのジェラートを、初めてフランスで販売したことでも知られています。

ヨーロッパのカフェ文化を牽引したイタリアには、今も当時の面影を伝える老舗がいくつか残っています。

カフェ文化の黎明期には「カフェ」と呼ばれていたお店が、イタリアでは「バール」という名に変わったのは19世紀の終わりごろといわれています。トスカーナ州でその風習が一般的になり、イタリア全土に広がっていきました。

日本人がイメージする「カフェ」は、イタリア語では「バール」と呼ばれます。長い歴史を持つ老舗は、現在も創業当時そのままに「カフェ」と名乗るところが多いのは、そんな事情があるのです。

イタリアの各都市に残るバールの老舗と逸話

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Claudio Stocco/shutterstock.com

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イタリアで最も古いカフェとされているのは、ヴェネツィアの「カフェ・フローリアン」。1720年創業のカフェには、哲学者のニーチェ、俳優のチャーリー・チャップリン、文学者のヘミングウェイの姿が見られたといわれています。

交易で栄えたヴェネツィアの象徴として、今もサン・マルコ広場の一隅で観光客を集めているカフェです。

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Julie Mayfeng/shutterstock.com

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ローマで1760年に開業したのが、「カフェ・グレコ」です。スペイン階段のほど近く、ハイブランドが軒を連ねるコンドッティ通りにあるカフェ・グレコは、壁にはさまざまな額がかけられて、さながら美術館のような趣きがあります。

音楽家のワーグナー、詩人のバイロンが愛したといわれる伝説を残しています。

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drserg/shutterstock.com

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イタリアで最もコーヒーがおいしいといわれるナポリの老舗「カフェ・ガンブリヌス」。サン・カルロ劇場に近く、美しいプレビシート広場の一角にあるこのカフェもまた、そうそうたる顧客を持っていたことで知られています。

カフェ・ガンブリヌスのジェラートファンだったというオーストリア皇后エリーザベト、作家のヘミングウェイやオスカー・ワイルド、哲学者のサルトルなど。教科書に登場するような人々が顧客だったわけです。

それぞれのカフェが持つエピソードが、観光客にとっては魅力なのでしょう。現在も老舗のカフェは、押すな押すなの大人気となっているわけです。

イタリアの老舗カフェ、気になるお値段は?

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REPORT/shutterstock.com

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犬も歩けば棒に当たるといっても良い頻度で遭遇するバールですが、老舗のカフェの数は限られています。イタリア旅行中、偉人や有名人が愛したカフェで優雅にコーヒーを飲みたいと思う方は多いことでしょう。

それでは、老舗のカフェでコーヒーを飲むとどのくらいの金額になるのでしょうか。通常のバールならば、エスプレッソ1杯のお値段は1~1.2ユーロほど。観光地となると、テーブル席に座ると2~3ユーロになることもあります。

ヴェネツィアのカフェ・フローリアンと、ローマのカフェ・グレコのメニューを参考にしてみましょう。この老舗でエスプレッソ・コーヒー1杯を飲むと、そのお値段はどちらも7ユーロ。

また、イタリア風の朝食を楽しむために、カプチーノとクロワッサンを注文するといくらになるでしょうか。

カフェ・グレコとカフェ・フローリアンのメニューを参考にすると、そのお値段は15~17ユーロ。2023年9月現在のレートですと、2400円~2700円ほどに。

イタリアに参入して話題になっているスターバックスの朝食セットが、7ユーロ(約1100円)です。円安の影響もありますが、それでもやはり高額になりますね。

一生の一度の思い出として、歴史ある老舗で優雅な時間を過ごす。コーヒーの価格云々ではなく、その時間への対価という感じでしょうか。

老舗カフェで偉人たちの足取りを辿ってみよう!

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Savvapanf Photo/shutterstock.com

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イタリアの各都市の中心に位置する老舗のカフェは、お店の雰囲気も古き良きヨーロッパを彷彿とさせます。

作家や俳優たちに愛された老舗のカフェ、メニューに記された価格は通常のバールよりもかなり高額。二の足を踏んでしまうかもしれません。

でも老舗カフェでくつろぐ時間はまさに旅行における貴重な体験。偉人たちの足取りを辿るつもりで、お財布の紐を緩めるのも一興ですね。

参考資料