深刻な介護士不足。現状打破は「介護保険料の値上げ」から
本来であれば、市場メカニズムが働いて「介護士の需要が介護士の供給を上回っているから、介護士の時給が上昇する」はずです。
ところが介護士の給料は介護保険料から支払われているため、市場メカニズムが働きません。
そこで必要となるのが「政府に働きかけること」と言えるでしょう。
介護士の給料が均衡賃金より低いなら、介護士の給料を上げれば良い、それだけのことです。政府に介護士の給料の引き上げを要求すれば良いのです。
ちなみに均衡賃金というのは労働力の需要と供給を一致させる賃金水準のことで、これより低い賃金では労働力不足が生じる、というものです。
「やりがい搾取は介護士がかわいそうだから」「介護士が不足すると日本経済が困るから」など、理由は人それぞれで構いません。「介護士の給料水準を上げよう」という声が国民の間で高まることを、筆者は強く望んでいます。
問題は、介護士の給料を上げるためには介護保険料を値上げする(あるいは税金を投入する)ことが必要となる点でしょう。
政府に要求するなら、負担を覚悟する必要がある
政府に向かって「介護士の給料の引き上げてほしい」と言うのは簡単です。しかしそのためには「介護士の給料を上げるために必要なら、介護保険料の引き上げには喜んで応じます」と言う必要があるわけです。
日本人はともすると
- 税金はお上が「召しあげる」もの
- 行政サービスはお上が「施してくれる」もの
と別々に考える傾向にありますが、行政サービスと負担は連動する」ということをしっかり認識しておく必要があります。
参考資料
塚崎 公義