近年の金融犯罪の増加を受けて、銀行では口座開設への対応が厳しくなっています。

以前は誰でも作ることができた銀行口座ですが、現在は口座開設を断られるケースも珍しくありません。

10月からの下半期に向け、転職を控えている方もいます。これを機に「口座を開設して家計の流れを整理しよう」と考える方もいますが、そう簡単に口座開設できない背景もあるのです。

本記事では、口座開設を行うときの銀行側の対応や厳しくチェックをする項目について、元銀行員の筆者が解説します。

銀行口座の開設が厳しいのは犯罪に使われるのを防ぐため

銀行側が口座開設に厳しい対応を取っているのは、マネーローンダリングやテロ資金供与に関与することを防ぐためです。

警察庁の「犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和4年)」によると、2022年に疑わしい取引として届けられた件数は58万3317件で、過去最多の水準となりました。

こうした金融犯罪で使われやすいのが、長年利用していない銀行口座です。

最近では、SNSなどを通じて「利用していない口座を売却しませんか?」といった勧誘が増えており、売買された口座が詐欺などの犯罪に利用されるケースが多発しています。

そのため、銀行では口座開設を行うときに「どのようなことに利用するのか」といったことを細かくヒアリングして、犯罪に使われる可能性がないか厳しく確認しているのです。